啓蟄の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!

2022年6月13日はがき・手紙のマナー

啓蟄の候 時期 いつ 読み方 意味 例文 結び

啓蟄の候とは、手紙などに季節感を与えるために用いられる時候の挨拶の1つです。

二十四節気の1つを含む言葉ですが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう!

 

読み方や意味を理解しておけば、「常識のない人」と思われるような失敗もありません。

啓蟄の候の使い方として私的な季節の挨拶状とビジネスレターの例文もまとめています。

 

文章等の最後の締めとなる「結びの挨拶」とセットで覚えておくと便利ですよ!

そこで今回は、啓蟄の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!というテーマでご紹介します。

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啓蟄の候を使う時期はいつ?

啓蟄の候 時期 いつ

啓蟄の候を使う時期は、例年3月6日頃~3月19日頃です。

これは、1年を24等分の季節に分けた二十四節気の「啓蟄」の期間で、約15日間となっています。

 

以下に、旧暦の春に関する二十四節気表をまとめていますので、確認してみましょう!

季節 二十四節気 旧暦年 新暦初日
初春 1 立春 1月節 2月4日頃
2 雨水 1月中 2月18日頃
仲春 3 啓蟄 2月節 3月6日頃
4 春分 2月中 3月21日頃
晩春 5 清明 3月節 4月5日頃
6 穀雨 3月中 4月20日頃

※二十四節気の順番は立春(1番目)を基準としています

二十四節気(旧暦)の春は「初春・仲春・晩春」の3つの季節に分けられています。

この中で、啓蟄は仲春の前半にあたり、立春から数えて3番目に巡ってくる節気です。

 

啓蟄の候を使える時期はこの仲春の前半に限定されています。

次の節気で3月21日頃の「春分」を迎えると、季節は仲春の後半に移り変わります。

 

すると、啓蟄の候を使う時期から外れてしまうため、前日3月20日頃までの使用にとどめます。

二十四節気を含む時候の挨拶は、該当する節気の期間のみ使用可能となっています。

ひとくちメモ
二十四節気は天文学に基づくため、毎年同じ日付とは限りません。その年のカレンダーなどで暦注を見ておくとわかりやすいです。


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啓蟄の候の読み方は?

啓蟄の候 読み方

啓蟄の候の読み方は「けいちつのこう」です。

漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです。(※一部例外もあります)

 

啓蟄単体でも訓読みすることはなく、「けいちつ」として俳句の仲春の季語になっています。

二十四節気の1つなので、比較的読み間違いは少ないかもしれませんね!

 

また、「候」は「そうろう」「さぶら(う)」「うかが(う)」「ま(つ)」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。

啓蟄の候の意味は?

啓蟄の候 意味

啓蟄の候は「暦の上では啓蟄を迎えましたが…」という意味です。

二十四節気の啓蟄は「冬眠していた虫たちが、土の外に出てくる頃」を表しています。

 

ちょっと難しい漢字ですが、それぞれの意味は・・・

  • 「蟄」=「寒い冬に虫たちが土の中にこもること」
  • 「啓」=「開く(つまり穴を開いて出てくること)」

となっており、ようやく暖かい季節を迎え、虫たちが冬眠から目覚める頃ですね。

 

また、啓蟄を迎える3月といえば・・・

  • 晩春に向け、一層春めいてくる
  • ソメイヨシノなどの桜のつぼみ
  • 満開の菜の花
  • フキ(フキノトウ)の開花時期
  • 土筆が顔を出す
  • ミツバチが活発に動き出す
  • ヘビやカエルなども見られる

などのイメージもありますよね!

 

啓蟄の候には「気温上昇により、春らしい自然の変化が見られる頃」というニュアンスも含まれています。

また、「候」は暑さ寒さの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃を意味します。


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啓蟄の候の使い方の例文と結び!

啓蟄の候 例文 結び

では、啓蟄の候の使い方の例文をご紹介します。

私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶と併せて参考にしてくださいね。

 

漢語調の時候の挨拶の前提として、「啓蟄の候」「啓蟄の折(おり)「啓蟄の砌(みぎり)」のどれを使ってもOKです。

口語調(和文調)の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向があります。

私的な季節の挨拶状の例文と結び

【書き出し】

  • 拝啓 啓蟄の候、皆様お変わりなくお過ごしのことと存じます。
  • 拝啓 啓蟄の候、皆様ますますご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。
  • 謹啓 啓蟄の候、皆様にはいよいよご清祥のことと拝察し、お慶び申し上げます。
  • 謹啓 啓蟄の候、ご家族様にはますますご清適の趣大慶に存じます。
  • 恭敬 啓蟄の候、ご一同様におかれましては益々ご清福の由慶祝の至りに存じます。

 

啓蟄の候だけで十分季節感を与えられるため、続けて相手の健康を喜ぶ言葉を入れておきましょう。

「お慶び」の代わりに「お喜び」「大慶」「慶賀」「慶祝」など使うのもオススメですよ!

チェック!
相手の健康を祝う言葉には「お変わりなく」「お健やか」「お元気」「ご活躍」「ご健勝」「ご清祥」「ご清適」「ご清栄」「ご壮健」「ご勇健」などがあります。「ご壮健」は主に目上の年配者宛、「ご勇健」は男性宛限定になります。また、幸福を祝う意味の「ご清福」も便利です。

 

【結び】

  • 桜の便りが待たれる日々です。どうぞご自愛専一にてお過ごしください。敬具
  • 春の雪とも申します。ご油断なく、お風邪など召しませんようにお祈りいたします。敬具
  • お引越しの準備でお忙しい頃と存じます。くれぐれも無理のないようお願い申し上げます。敬白
  • いよいよ新生活が始まりますね。心よりご活躍を祈願致します。かしこ
  • 浅春のみぎり、幸多き春の門出となりますようお祈り申し上げます。謹白

 

結びの挨拶には相手の健康を気遣う言葉を入れるのがマナーです。

ただし、年度末ということもあり、新たな春の門出を祝うような文章でもよいですね!

 

また、冒頭の頭語と最後の締めくくりとなる結語の組み合わせは以下の通りです。

頭語 結語
一般的な例 拝啓・拝呈・啓上・啓白 敬具・拝具・敬白・かしこ(女性のみ)
改まった例 謹啓・謹呈・恭敬・粛啓 謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ(女性のみ)

(※同じ行であればどの組み合わせでもOKです)

最もポピュラーとされる「拝啓」+「敬具」の組み合わせでも十分敬意は伝わります。

フォーマルな印象を強めたい時は、「謹啓」+「敬白」などを使用する手もあります。

ビジネスレターの例文と結び

【書き出し】

  • 拝啓 啓蟄の候、貴社ますますご隆盛こととお慶び申し上げます。
  • 拝啓 啓蟄の候、貴店いよいよご盛業のことと存じ、お慶び申し上げます。
  • 謹啓 啓蟄の候、貴社にはますますご清栄のことと承り、大慶に存じます。
  • 謹啓 啓蟄の候、貴店におかれましては益々ご盛栄の段慶賀の至りに存じます。
  • 恭敬 啓蟄の候、貴店におかれましては益々ご隆昌ことと拝察し、お慶び申し上げます。

 

ビジネスレターでは相手の会社の敬語「貴社」を使用します。(お店は貴店、銀行は貴行)

「~のことと」の代用として「~の段」「~由」「~趣」「~のことと承り」「~の御事」なども利用できます。

チェック!
相手の会社の発展を祝う言葉には「ご隆盛」「ご盛業」「ご清栄」「ご盛栄」「ご隆昌」「ご繁栄」「ご発展」などがあります。「ご隆昌」「ご隆盛」は意味合い的にはビジネス向きですが、「ご清栄」は私的な挨拶状にも使えて便利です。

 

【結び】

  • 年度末のお忙しい折、皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。取り急ぎ、お礼かたがたご挨拶まで。敬具
  • 今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。まずは書中にてご挨拶申し上げます。敬白
  • 今後とも尚一層のお付き合いを賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。末筆ながら、厚く御礼申し上げます。拝具
  • 今後とも倍旧のご支援を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。略儀ながら、書中にてご挨拶申し上げます。謹白
  • 浅春の折から、貴社ますますのご盛栄を社員一同衷心より祈念致します。誠に略儀ではございますが、書中にてご報告申し上げます。謹言

 

結びには「相手の会社の更なる繁栄」「今後の支援」を祈願する言葉を入れておきます。

「何卒」+「どうぞ」といった二重表現にならないようご注意くださいね!

チェック!
相手の会社に支援を願う言葉には「ご厚誼」「ご高配」「ご支援」「ご愛顧」「ご贔屓」「ご厚意」「ご指導」「ご鞭撻」「お引き立て」「お付き合い」「お力添え」などがあります。それぞれ多少意味が異なりますが、ビジネスレターでよく使われる表現です。

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啓蟄の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!のまとめ

  • 啓蟄の候を使う時期は、例年3月6日頃~3月19日頃
  • 二十四節気の「啓蟄」の期間のみ使用できる
  • 読み方は「けいちつのこう」
  • 意味は「暦の上では啓蟄を迎えましたが…」
  • 「気温上昇により、春らしい自然の変化が見られる頃」といったニュアンスを含む
  • 漢語調の時候の挨拶は主に改まった相手に使用される

 

啓蟄の候は、晩春の本格的な暖かさを感じる前に使用される時候の挨拶です。

年度末で忙しい時期になりますが、相手に失礼のないように注意したいですね!