春寒の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！

2022年6月24日2022年6月26日はがき・手紙のマナー

手紙などに季節感を与えるために用いられる時候の挨拶の1つに「春寒の候」があります。

「春」と「寒」という文字が含まれますが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう！

 

読み方や意味を理解しておくと、誤用して「常識のない人」と思われる心配も無用です。

春寒の候の使い方として私的な季節の挨拶状とビジネスレターの例文もまとめています。

 

文書等で重要視される「結びの挨拶」とセットで覚えておくと便利ですよ！

そこで今回は、春寒の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！というテーマでご紹介します。

 

春寒の候を使う時期はいつ？

春寒の候を使う時期は、例年2月4日頃～3月5日頃となっています。

これは、1年を24等分の季節に分けた二十四節気の「立春」～「雨水」の約30日間です。

 

以下に、旧暦の春を中心とした二十四節気表をまとめていますので、確認してみましょう！

季節		二十四節気		旧暦月	新暦初日
冬	晩冬	23	小寒	12月節	1月5日頃
		24	大寒	12月中	1月20日頃
春	初春	1	立春	1月節	2月4日頃
		2	雨水	1月中	2月18日頃
	仲春	3	啓蟄	2月節	3月6日頃
		4	春分	2月中	3月21日頃
	晩春	5	清明	3月節	4月5日頃
		6	穀雨	3月中	4月22日頃

※二十四節気の順番は立春（1番目）を基準としています。

二十四節気（旧暦）の春は「初春・仲春・晩春」の3つの季節に分けられています。

その中で、春寒の候を使う時期は、まだ寒い日が続く初春全般（前半の節気と後半の中気）です。

 

使い始めは、二十四節気における最初の節気「立春」の初日にあたる2月4日頃。

使い終わりは、同じく2番目に巡ってくる中気「雨水」の最終日にあたる3月5日頃になります。

 

次の節気で3月6日頃の「啓蟄」を迎えると季節は仲春に移り変わり、徐々に春めいてくる頃です。

すると、春寒の候を使う時期として相応しくないため、前日3月5日頃までの使用にとどめます。

春寒の候の読み方は？

春寒の候の読み方は「しゅんかんのこう」です。

漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです。（※一部例外もあります）

 

春寒単体に限定すると「しゅんかん」だけでなく、「はるさむ」と訓読みすることもあります。

どちらも俳句の初春の季語となっていますが、読み間違いの無いようご注意くださいね！

 

また、「候」は「そうろう」「さぶら（う）」「うかが（う）」「ま（つ）」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。

春寒の候の意味は？

春寒の候は「暦の上では春とはいえ、寒い日もあるこの頃ですが…」という意味です。

そもそも春寒とは「余寒」と同義の言葉で、「立春を過ぎた後にぶり返す寒さ」を表しています。

 

暖かい季節に入っても、一時的に冬型の気圧配置に逆戻りすることで真冬並みの寒さに戻る現象です。

類義語として、桜が咲く頃に起こる「花冷え」、晩春の頃に起こる「寒の戻り」がありますね！

 

そもそも新暦2月4日頃を過ぎても急に暖かくなるわけではなく、しばらくは寒い日が続きます。

そのため、春寒の候は前述した通り、2月19日頃からの「雨水」の期間に使用する傾向もあります。

 

また、時候の挨拶に使われる「候」は、暑さ寒さなどの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃を意味します。

春寒の候の使い方の例文と結び！

では、春寒の候の使い方の例文をご紹介します。

私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶とともに参考にしてくださいね！

 

漢語調の時候の挨拶の前提として「春寒の候」「春寒の折（おり）」「春寒の砌（みぎり）」のどれを使ってもOKです。

口語調（和文調）の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向もあります。

私的な季節の挨拶状の例文と結び

【書き出し】

• 拝啓　春寒の候、皆様お元気にお過ごしのことと存じます。
• 拝啓　春寒の候、皆様ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
• 拝呈　春寒の候、皆様にはいよいよご健勝のことと拝察し、お慶び申し上げます
• 謹啓　春寒の候、ご家族様にはますますご壮健の段大慶に存じます。
• 恭敬　春寒の候、ご一同様におかれましては益々ご清祥の由慶賀の至りに存じます。

 

春寒の候だけで季節感は伝わりますので、続いて相手の健康を祝う言葉を入れておきましょう。

宛名の部分には「○○様」「皆様」「皆々様」「ご家族様」「ご尊家様」「ご一同様」などが使えます。

【結び】

• 暦の上では春とは申せ、まだ厳しい寒さが続きます。どうぞお体をおいといください。敬具
• まだまだ寒い日が続きますが、くれぐれもご自愛専一にてお過ごしください。敬具
• 折しも向春の季節、皆様のいっそうのご健勝をお祈り申し上げます。敬白
• 天候不順の折、何卒お体大事にお過ごしくださいますようお願い申し上げます。拝具
• 残寒のみぎり、皆様ますますのご健康とご多幸を祈念致します。かしこ

 

結びの挨拶には相手の健康を気遣う言葉を入れておくのがマナーです。

「ご多幸をお祈り申し上げます」といった文章でもよいですね！

 

また、冒頭の頭語と最後の締めとなるる結語の組み合わせは以下の通りです。

	頭語	結語
一般的な例	拝啓・拝呈・啓上・啓白	敬具・拝具・敬白・かしこ（女性のみ）
改まった例	謹啓・謹呈・恭敬・粛啓	謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ（女性のみ）

（※同じ行であればどの組み合わせでもOKです）

よりフォーマルな印象を強めたいという場合、頭語には「謹啓」「謹呈」などを選びましょう。

ビジネスレターの例文と結び

【書き出し】

• 拝啓　春寒の候、貴社ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
• 拝呈　春寒の候、貴店いよいよご盛栄のことと拝察し、お慶び申し上げます。
• 啓上　春寒の候、貴社にはますますご盛業の趣承り、大慶の至りに存じます。
• 謹啓　春寒の候、貴店におかれましてはいよいよご隆盛の御事慶賀の至りに存じます。
• 恭敬　春寒の候、貴社におかれましては益々ご発展ことと拝察し、お慶び申し上げます。

 

ビジネスレターでは、相手の会社やお店の敬語「貴社・貴店」を使用します。（銀行は貴行）

「～のことと」の代わりとして「～由」「～の段」「～の趣」「～の御事」なども便利です。

 

【結び】

• 早春のみぎり、貴社ますますのご発展を弊社一同衷心より祈念致します。取り急ぎ、ご報告とご挨拶まで。敬具
• 浅春の折、皆様のご健勝とご活躍を社員一同心よりお祈り申し上げます。まずは、書中にてご挨拶申し上げます。敬具
• 今後ともより一層のご厚誼を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。略儀ながら、書中にてご挨拶申し上げます。敬白
• 今後とも倍旧のご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。まずは、書中にてお礼かたがたご挨拶申し上げます。敬白
• 今後とも格別のお力添えを賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。略儀失礼ながら、書中にて深謝申し上げます。頓首

 

結びには「相手の会社の繁栄」や「今後の支援」を祈願する言葉を入れておきます。

「倍旧の」＝「前にも増して」、「衷心より」＝「心の底から」といった意味です。

春寒の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！のまとめ