福茶の意味と由来!いつ飲む?作り方や飲み方に作法はあるの?
京都を発祥とし、関西を中心に1年の大切な節目に飲まれている縁起物の福茶。
関東以北では馴染みが薄い人も多く、その意味や由来が気になりますよね。
また、そもそも福茶はいつ飲むのか?と疑問に思う人も意外と多いかもしれませんね。
福茶の歴史は平安時代から続いていますが、別名も様々あって興味深いです。
作り方は至ってシンプルですが、飲み方に作法があるのか知っておくと便利ですよ!
そこで今回は、福茶の意味と由来!いつ飲む?作り方や飲み方に作法はあるの?というテーマでご紹介しますね。
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福茶の意味!
福茶とは、主に関西圏を中心に正月の元日や節分などに飲まれるお茶のことを意味し…
古来より縁起物とされる以下の具材が入っているが一番の特徴です。
- 梅干し:松竹梅の1つである梅の塩漬け
- 昆布:よろこぶの語呂合わせに由来する海藻の干物
- 黒豆(または大豆):マメに働けるようにと願いを込めた五穀の1つ
- 山椒:捨てるところが無いといわれる日本最古の香辛料(※入っていないことも)
福茶には邪気を払う力があるといわれ、飲むだけで1年を無病息災で過ごせるという意味が込められた縁起茶(健康茶)の1つです。
とくに、正月の元日早朝に汲んできた若水で淹(い)れたものは「大福茶」と呼ばれています。
昔から1年最初に井戸などから汲んでくる若水にも邪気を払う力が宿るといわれ…
新年の幸福を授けてくださる年神様への供物とされていましたので、福茶の縁起のよさも倍増すると考えられていました。
福茶の別名と読み方は?
福茶には、地域ごとに異なる呼び名が様々あります。
主な別名を以下にまとめましたので、読み方にも注目してみてくださいね!
- 御福茶=おふくちゃ
- 王服茶(王福茶)=おうぶくちゃ、おうふくちゃ
- 皇服茶(皇福茶)=おうぶくちゃ、おうふくちゃ、こうふくちゃ
- 大福茶(大福)=おおぶくちゃ、おおふくちゃ、だいぶくちゃ、だいふくちゃ
- 大服茶(大服)=おおぶくちゃ、おおふくちゃ、だいぶくちゃ、だいふくちゃ
- 大茶=だいちゃ
「御福茶」は主に発祥とされる京都の呼び名で、平安貴族に由来する上品さを感じますね。
また、「王服茶」「皇服茶」は、もともと「天皇が飲むお茶」という意味の別名になります。
薬に関する「頓服・服用」などの言葉がある通り、「服」は「飲む・食べる」を表す言葉の1つです。
のちに一般庶民にも普及すると「福」の字を当て、福茶は縁起物として確立しています。
「大福茶」「大服茶」「大茶」の「大」の字は、1年で最もめでたい正月を表す言葉です。
福茶の別名にも様々ありますが、読み方も地域ごとに複数のパターンで使い分けされています。
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福茶の由来!
福茶は、平安時代中期の村上天皇と空也上人(くうやしょうにん)にまつわる逸話に由来します。
京の街に疫病が流行した際、空也上人は「十一面観音像」を完成させ、俥に載せて街中を曳いて回ったといわれています。
この観音像のお供え物だったお茶を人々に飲ませたところ、疫病が収束し、多くの命が救われています。
空也上人が創建した六波羅蜜寺のご本尊はこの十一面観音であり、のちに病床に就いていた村上天皇も同じお供え物のお茶を飲み、病気を克服したといわれています。
村上天皇は空也上人の功績を称え、このお茶を旧暦元日に飲む「王(皇)服茶」として習慣化。
のちに大衆に広まると「福茶(大福茶)」と呼ばれ、京の街では無病息災を願う縁起物となりました。
福茶はいつ飲む?
縁起物の福茶には「この日に飲まなければならない」という決まり事はありません。
ただ、いつ飲むべきか?という目安として、1年の大きな節目となる日取りを以下にご紹介しますね!
大晦日
1年最後の日となる大晦日に福茶を飲む習慣のある地域もあります。
新年を迎える前にお清め(邪気払い)をして、身も心もリフレッシュするには最適ですね!
旧年中の煩悩を打ち消す「除夜の鐘」に似ており、新たな気持ちで正月という門出を迎えられますね。
元日
正月の元日は1年で唯一「大福茶」が飲めるチャンスですね!
井戸は全国的にも少なくなっていますので、お近くに飲み水の汲める水源があるといいですね。
早朝の若水汲みは寒さも厳しいですが、大福茶で温まってからおせち料理やお雑煮をいただきましょう!
1年を無病息災で楽しく過ごすためには、元日の朝(元旦)がベストかもしれません。
節分
2月初旬の節分といえば、二十四節気における最後の1日となります。
季節の変わり目には邪気(鬼)が出るともいわれますので、豆まきや柊鰯と共に福茶を飲んで鬼退治と行きましょう!
前日に炒って神棚に飾っておいた福豆を年の数だけ入れて飲めば、全部食べなくても食べたことと同等になりますよ。
とくに厄年の人は節分までに厄除け・厄払いを終わらせる人も多いので、福茶の効果を借りることもおすすめします。
立春
立春は二十四節気における最初の1日であり、旧暦時代は1年の暮らしの始まりとされていました。
寒の明けともいわれる立春に福茶を飲んで、新しいことにチャレンジするのもよいですね。
当日は「立春大吉」のお札を貼ったり、福茶に合いそうな「立春大福」を食べる習慣もあります。
無病息災だけでなく開運招福を願う絶好の機会だと思いますよ!
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福茶の作り方は?
福茶の作り方は至ってシンプルなので、ぜひ作って飲んでみてくださいね!
【材料】一人前
- 梅干し:1個
- 塩昆布:小さじ1杯程度
- 黒豆(大豆):3粒
- 粉山椒:適宜(入れなくても構いません)
- 熱湯(またはお茶):200cc
【作り方】
- 茶碗にすべての具材を入れる
- 熱湯またはお茶を注いで完成
元日用の大福茶の場合、アントシアン(色素)を含む黒豆(大豆の一種)を使用するのが一般的です。
節分用であれば、フライパンで炒った大豆(福豆)を使うと、香ばしくて美味しくなります。
福茶に入れる豆の数は奇数の3粒にした方が縁起がよいといわれています。
福茶の飲み方に作法はあるの?
茶道(表千家・裏千家)以外の一般的な福茶には、飲み方に関する作法はありません。
お茶を飲んでしまえば「具材を食べるか、食べないか」も、どちらでも構いません。
せっかく縁起のよい具材を入れるのですから、梅干しの種以外は食べてしまう方がおすすめです。
また、梅干しは種を先に出してしまってから福茶を作ることも多いです。
全部飲み干してしまった方が、邪気払いの効果も高まりそうな気もしますね!
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福茶の意味と由来!いつ飲む?作り方や飲み方に作法はあるの?のまとめ
福茶の意味と由来を中心にご紹介しました。
1年の無病息災を願って、季節の大きな節目に飲んでみてはいかがでしょうか。
今では具材入りの福茶も市販されていますので、熱湯を注ぐだけで簡単に作れますよ!
とくに厄年の方は、節分の日に福豆を入れて厄除け・厄払いの総仕上げをするとよさそうですね。
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