人日の節句の読み方と意味、由来とは?七草粥を食べるのはなぜ?

2022年11月14日年末年始

人日の節句 読み方 意味 由来 七草粥

毎年、正月の松の内最終日となる1月7日に巡ってくる人日の節句

現代の日本では最も馴染みの薄い節句なので、読み方や意味を知る人は少ないですよね。

 

人日の節句の由来を知れば、1年の幸福を祈る大切な1日だとわかりますよ!

また、この日に七草粥を食べるのはなぜなのか、覚えておくと便利です。

 

春の七草は単なる具材ではなく、縁起物としての意味が込められているのです。

そこで今回は、人日の節句の読み方と意味、由来とは?七草粥を食べるのはなぜ?というテーマでご紹介します。

Sponsored Link


 

人日の節句の読み方と意味は?

人日の節句 読み方 意味

人日の節句の読み方は「じんじつのせっく」です。

古代中国の陰陽五行説から誕生した五節句の1つで、1年最初の1月7日に巡ってきます。

 

人日の節句は文字通り「人の節句」を意味し、人を慈しみ人の幸せを願う日とされています。

もともとは奇数の「一」が重なる旧暦1月1日でしたが、元日は新年を迎える別格の慶事ということもあり1月7日に移動しています。

 

そもそも節句とは、神様にお供え物をして邪気払いを行う他、無病息災五穀豊穣などの願い事をする季節の節目のお祝い行事です。

ただ、人日の節句には七草粥を食べる習慣があるため、和名の「七草の節句」のみを認識している人も多いですね!

 

ちなみに、五節句はすべて中国から伝わっているため、漢名の読み方は以下の通りです。

日付 節句 読み方
1月7日 人日 じんじつ
3月3日 上巳 じょうし
5月5日 端午 たんご
7月7日 七夕 しちせき
9月9日 重陽 ちょうよう

Sponsored Link

人日の節句の由来とは?

人日の節句 由来

人日の節句は、古来中国の年始に行われていた動物占いに由来します。

それぞれの日付と対象となる動物は以下の通りです。

日付 動物
1月1日
1月2日 狗(犬)
1月3日 猪(豚)
1月4日
1月5日
1月6日
1月7日
1月8日 穀(唯一動物以外)

1月6日までの動物は中国の「六畜」といわれ、3日の猪は豚に品種改良されたといわれています。

そして、日付に対応した動物はその日に限っては殺生を行わず、食べることもありませんでした。

 

人日の節句となる1月7日の対象は「人」ですが、この日は犯罪者への罰が無効になるほど徹底されていたのです。

さらに、七草粥の原型となった羹(あつもの=汁物)を食べて、1年間の無病息災を願ったといわれています。

 

日本に人日の節句が伝わったのが平安時代(794年~1185年)のことですが…

当時は貴族の風習であり、一般庶民に広く普及したのは江戸時代に幕府が公式行事とした頃といわれています。

 

五節句すべてが中国由来となりますが、日本で変化して独自の文化が誕生するきっかけとなっていますね!

ひとくちメモ!
もともと農耕民族の日本人とは異なり、中国では2000年以上前から鶏肉を食べていたようです。犬や虎などのいわゆる「ゲテモノ食い」に関しても、古代中国からの文化なので仕方が無いという声もありますね!

人日の節句に七草粥を食べるのはなぜ?

人日の節句 七草粥 なぜ

1月7日の人日の節句といえば、春の七草を使った七草粥を食べる風習がありますよね。

これも前述した通り、中国から伝わった「7種類の野菜を使った羹」を食べる習慣から来ています。

 

さらに、当時の日本には新年(春)の野山に出掛け、若菜を摘んで食べる「若菜摘み(わかなつみ)」という風習がありました。

春の初めに芽生えたばかりの若菜は「生命力の象徴」とされ、食べることで1年間の無病息災を願ったといわれています。

 

七草粥は平安時代に中国から伝わった「羹を食べる習慣」と、「若菜摘み」が融合して誕生した行事食の1つです。

ちなみに、日本に伝来する前から正月料理やお酒で弱った胃腸を休めるという意味合いもありました。

Sponsored Link

七草粥に使う春の七草は縁起物!

春の七草 縁起物

人日の節句の食べる七草粥に使われる「春の七草」

  • せり(芹)
  • なずな(薺)
  • ごぎょう(御形)
  • はこべら(繁縷・蘩蔞)
  • ほとけのざ(仏の座)
  • すずな(菘)
  • すずしろ(清白・蘿蔔)

 

秋の七草より覚えやすく、短歌のようなリズムですべて言える人も多いと思います。

この春の七草は、体によい効能を持つだけでなく、実は縁起物とされているのです。

 

早速、1つずつ見ていきましょう!

せり(芹)

春の七草 せり

せり(芹)は、セリ科セリ属の多年草で、和名で「白根草(しろねぐさ)」とも呼ばれます。

名前の由来が「競り合うように若葉が成長する様子」から来ており、「競り勝つ」という意味を持つ縁起物です。

 

独特の香りを持つハーブですが、健胃・食欲増進などの効能があるといわれています。

なずな(薺)

春の七草 なずな

なずな(薺)は、アブラナ科ナズナ属の越年草で、別名のペンペン草の方がわかりやすいかもしれません。

三味線草(しゃみせんぐさ)という呼び名もあります。

 

名前の由来は「撫で菜(なでな)」から転訛したなど様々な説があり…

「撫でて汚れを払う」といわれる縁起物です。

 

ただの雑草と思っている人も多いですが、唾液や胃液分泌して消化を助ける効能があります。

ごぎょう(御形)

春の七草 ごぎょう

ごぎょう(御形)は、正式には母子草(ははこぐさ)と呼ばれるキク科ハハコグサ属の越年草です。

御形という漢字からもわかる通り、「仏体(仏様の体)」を表す縁起物とされ、若い葉を七草粥に使用します。

 

利尿作用や咳止め、去痰作用(痰の切れをよくする)もあるといわれています。

はこべら(繁縷・蘩蔞)

春の七草 はこべら

はこべら(繁縷・蘩蔞)は、正式にはハコベと呼ぶナデシコ科ハコベ属の植物です。

「繁栄が蔓延(はびこ)る」という意味を持つ縁起物の1つです。

 

鎮痛・止血作用に優れ、歯槽膿漏の予防効果も高いといわれています。

ほとけのざ(仏の座)

春の七草 ほとけのざ

ほとけのざ(仏の座)は、正式にはコオニタビラコ(小鬼田平子・稲槎菜)というキク科の越年草です。

「仏の座(仏様の安座する姿)」を表する縁起物の1つです。

 

健胃、食欲増進、整腸作用のほか、降圧作用などにも優れています。

ピンクや紫の花を咲かせるシソ科の「ホトケノザ」とは異なりますので、ご注意くださいね!

すずな(菘・鈴菜)

春の七草 すずな

すずな(菘・鈴菜)とは、料理でもよく使われる白いかぶ(蕪)の別名です。

根の丸い部分からも想像できますが、「神を呼ぶ鈴」を意味する縁起物といわれています。

 

胃腸を温める働きがあり、お腹の調子が悪い時に食べると改善が期待できます。

すずしろ(清白・蘿蔔)

春の七草 すずしろ

すずしろ(清白・蘿蔔)は、おでんなどの具材としても人気のだいこん(大根)の別名ですね!

「清々しい白色」「すずな(蕪)の代わり」という意味で、すずしろと呼ばれている説などがあります。

 

見た目通り「汚れのない純白さ」を表す縁起物の1つです。

根の部分には消化酵素をたっぷり含んでいますので、七草粥に根の部分を使うのもよさそうです。

Sponsored Link

人日の節句の読み方と意味、由来とは?七草粥を食べるのはなぜ?のまとめ

1月7日の「人日の節句」の読み方と意味、由来を中心にご紹介しました。

五節句の中では最もマイナーな印象がありますが、1年を無病息災で過ごすための「人の節句」です。

 

もともとは中国の年始に行われていた動物占いに由来し、日本には平安時代の貴族に伝わっています。

江戸時代には1年最初の節句に制定され、七草粥を食べる習慣も広く普及しています。

 

当日は松の内最終日(関西以外)となりますので、七草粥を食べて胃腸の機能を正常に戻しましょう!

春の七草も縁起物ばかりですし、体によい効能も豊富にありますよ。

 

年末年始

Posted by sonoko0620