穀雨の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!

2022年6月15日はがき・手紙のマナー

穀雨の候 時期 いつ 読み方 意味 例文 結び

穀雨の候とは、手紙などに季節感を与えるために用いられる時候の挨拶の1つです。

雨という文字を含みますが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう!

 

読み方や意味を理解しておくと、「常識のない人」と思われる心配も無用です。

穀雨の候の使い方として私的な季節の挨拶状やビジネスレターの例文もまとめています。

 

文書等で重視される「結びの挨拶」とセットで覚えておくと便利ですよ!

そこで今回は、穀雨の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!というテーマでご紹介します。

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穀雨の候を使う時期はいつ?

穀雨の候 時期 いつ

穀雨の候を使う時期は、例年4月20日頃~5月4日頃です。

これは、1年を24等分の季節に分けた二十四節気の「穀雨」の期間で、約15日間となります。

 

以下に、旧暦の春を中心とした二十四節気表をまとめていますので、確認してみましょう!

季節 二十四節気 旧暦月 新暦初日
初春 1 立春 1月節 2月4日頃
2 雨水 1月中 2月18日頃
仲春 3 啓蟄 2月節 3月6日頃
4 春分 2月中 3月21日頃
晩春 5 清明 3月節 4月5日頃
6 穀雨 3月中 4月20日頃
初夏 7 立夏 4月節 5月5日頃
8 小満 4月中 5月21日頃

※二十四節気の順番は立春(1番目)を基準としています

二十四節気(旧暦)の春は「初春・仲春・晩春」の3つの季節に分けられています。

その中で、穀雨は晩春の後半にあたり、立春から数えて6番目に巡ってくる節気(中気)です。

 

穀雨の候を使える時期は、この晩春の後半に限定されています。

次の節気で5月5日頃の「立夏」を迎えると、季節は夏(初夏)に移り変わります。

 

すると、穀雨の候を使う時期から外れるため、前日5月4日頃までの使用にとどめます。

二十四節気を含む時候の挨拶は、該当する節気の期間のみ使用可能となっています。

ひとくちメモ
二十四節気は1番目の立春を含む奇数番を「節気」、偶数番を「中気」と呼びます。これを交互に繰り返して1年(24の季節)を構成していますが、穀雨は6番目で偶数番なので「中気」に含まれます。日付は毎年固定ではありませんので、その年のカレンダーなどで暦注を確認しておきましょう!


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穀雨の候の読み方は?

穀雨の候 読み方

穀雨の候の読み方は「こくうのこう」です。

漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです。(※一部例外もあります)

 

穀雨単体でも訓読みすることはなく、「こくう」として俳句の晩春の季語になっています。

そもそも二十四節気の1つなので、読み間違いは少ないと思われます。

 

また、「候」は「そうろう」「さぶら(う)」「うかが(う)」「ま(つ)」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。

穀雨の候の意味は?

穀雨の候 意味

穀雨の候は「暦の上では穀雨を迎えましたが…」という意味です。

二十四節気の穀雨は「百穀の成長を手助けする(晩春の)雨が降る頃」を表しています。

 

百穀といっても様々な穀類を表す言葉で、昔の人が食べていた五穀(稲・麦・粟・豆・黍または稗)がメインとなります。

暖かい雨によって稲の種もみや畑の穀物が芽を出すため、まさに恵の雨が降る頃です。

 

また、穀雨の終盤となる5月1日頃には八十八夜を迎えます。

霜による茶葉への被害も無くなる頃ですが、現在では4月中旬から茶摘みの最盛期を迎える地域も多いです。

 

穀雨の候には「農業に欠かせない恵の雨が降り、茶摘みが最盛期に入る頃」といったニュアンスも含まれています。

また、「候」は暑さ寒さの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃を意味します。

ひとくちメモ
麦は秋に種を撒き、5月下旬頃から収穫時期を迎えます。また、田植えの時期は穀雨より後の梅雨入り直前頃から最盛期に入ります。


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穀雨の候の使い方の例文と結び

穀雨の候 例文 結び

では、穀雨の候の使い方の例文をご紹介します。

私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶も併せて参考にしてくださいね。

 

漢語調の時候の挨拶の前提として、「穀雨の候」「穀雨の折(おり)「穀雨の砌(みぎり)」のどれを使ってもOKです。

口語調(和文調)の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向もあります。

私的な季節の挨拶状の例文と結び

【書き出し】

  • 拝啓 穀雨の候、○○様にはお元気でお暮しのことと存じます。
  • 拝啓 穀雨の候、皆様いよいよご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。
  • 謹啓 穀雨の候、皆様にはますますご清祥のことと拝察し、お慶び申し上げます。
  • 謹啓 穀雨の候、ご家族にいよいよご清栄の段大慶に存じます。
  • 恭敬 穀雨の候、ご一同様におかれましては益々ご壮健の由慶賀の至りに存じます。

 

穀雨の候だけで季節感を与えられるため、続いて相手の健康を祝う言葉を入れておきましょう。

「お慶び」の代わりに「お喜び」「大慶」「慶賀」「慶祝」などを使う手もあります。

チェック!
相手の健康を祝う言葉には「お元気」「お健やか」「お変わりなく」「ご健勝」「ご活躍」「ご清祥」「ご清適」「ご清栄」「ご壮健」「ご勇健」などがあります。また、幸福を祝う意味の「ご清福」も便利です。「ご勇健」は男性宛限定、「ご壮健」は主に目上の年配者宛に使用します。

 

【結び】

  • 行く春を惜しみつつ、皆様のさらなるご健勝を祈念致します。敬具
  • 菜種梅雨というのでしょうか。いつになく雨の多い時節でございます。どうぞご自愛くださいませ。敬具
  • 汗ばむような日もございます。何卒体調にご留意くださいませ。敬白
  • 季節の変わり目でございます。皆様ご自愛専一にてご精励ください。敬白
  • 暮春のみぎり、皆様おそろいで新緑の季節をお迎えください。かしこ

 

結びの挨拶にも相手の健康を気遣う言葉を入れておくのがマナーです。

書き出しでは使用していない漢語調の時候の挨拶を使って、文章を構成するのもオススメです。

 

また、冒頭の頭語と最後を締めくくる結語の組み合わせは以下の通りです。

頭語 結語
一般的な例 拝啓・拝呈・啓上・啓白 敬具・拝具・敬白・かしこ(女性のみ)
改まった例 謹啓・謹呈・恭敬・粛啓 謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ(女性のみ)

(※同じ行であればどの組み合わせでもOKです)

最もポピュラーな頭語は「拝啓」、結語は「敬具」ですね。

さらに丁寧な印象にしたい場合、「謹啓」+「謹白」 などの組み合わせもよいですね!

ビジネスレターの例文と結び

【書き出し】

  • 拝啓 穀雨の候、貴社ますますご発展こととお慶び申し上げます。
  • 拝啓 穀雨の候、貴店いよいご盛業のことと存じ、お慶び申し上げます。
  • 謹啓 穀雨の候、貴社にはますますご隆昌のことと承り、大慶に存じます。
  • 謹啓 穀雨の候、貴店におかれましては益々ご盛栄の御事慶祝の至りに存じます。
  • 恭敬 穀雨の候、貴行におかれましては益々ご隆盛のことと拝察し、お慶び申し上げます。

 

ビジネスレターでは相手の会社の敬語「貴社」を使用します。(お店なら貴店、銀行なら貴行)

「~のことと」の代わりに「~の段」「~の由」「~趣」「~の御事」「~のことと承り」なども使われています。

チェック!
相手の会社の繁栄を祝う言葉には「ご発展」「ご盛業」「ご隆昌」「ご盛栄」「ご隆盛」「ご清栄」「ご繁栄」などがあります。「ご隆昌」「ご隆盛」は意味合い的にはビジネス向きですが、「ご清栄」は私的な挨拶状にも使えて便利です。

 

【結び】

  • 今後とも格別のお引き立てを賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。まずは書中にてご挨拶まで。敬具
  • 今後とも倍旧のお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。取り急ぎ、ご通知申し上げます。拝具
  • 今後とも尚一層のご厚誼を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。末筆ながら、お礼かたがたご挨拶申し上げます。敬白
  • 温暖のみぎり、貴社ますますのご隆昌を心よりお祈り申し上げます。略儀ながら、書中にて厚く御礼申しげます。謹白
  • 惜春の折、皆様のご健勝とご活躍を社員一同衷心より祈念致します。略儀失礼ながら、書中にて深謝申し上げます。頓首

 

結びには「相手の会社の発展」「今後のお付き合い」を祈願する言葉を入れておきます。

「お引き立て」などの上には「変わらぬ」「格別の」「倍旧の」「より一層の」「尚一層の」などで強調しておくとよいです。

チェック!
相手の会社に支援を願う言葉には「お引き立て」「お力添え」「お付き合い」「ご厚誼」「ご高配」「ご支援」「ご愛顧」「ご指導」「ご鞭撻」「ご厚意」「ご贔屓」などがあります。それぞれ多少意味が異なりますが、ビジネスレターでよく使われる表現です。

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穀雨の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!のまとめ

  • 穀雨の候を使う時期は例年4月20日頃~5月4日頃
  • 二十四節気の「穀雨」の約15日間
  • 読み方は「こくうのこう」
  • 意味は「暦の上では穀雨を迎えましたが…」
  • 「農業に欠かせない恵の雨が降り、茶摘みが最盛期に入る頃」といったニュアンスを含む
  • 漢語調の時候の挨拶は主に改まった相手に使用される

 

穀雨の候は晩春に使われる時候の挨拶で、時期を過ぎると季節は夏に入ります。

私的な季節の挨拶状やビジネスレターにもぜひご活用くださいね!