節分の食べ物!関東と関西、その他の地域では?意味や由来も解説!
節分の食べ物といえば、豆まきをした後の大豆(福豆)や恵方巻きなどが有名ですよね。
邪気を祓い福を呼び込むための縁起物だけに、大切にしたい行事食です。
ただし、節分の食べ物には意外にも地域差があり、関東や関西、その他の地域でも随分異なっています。
当たり前だと思って食べていた物が、実は全国的にはあまり知られていないこともあるんですよね。
詳しい意味や由来などがわかれば、納得できると思いますよ!
そこで今回は、節分の食べ物!関東と関西、その他の地域では?意味や由来も解説!というテーマでご紹介しますね。
節分の食べ物!関東は?
まずは、関東でよく食べられている節分の食べ物からご紹介します。
全国でも有名な「けんちん汁」の他、北関東では「しもつかれ」という料理を食べる風習があります。
けんちん汁
けんちん汁とは、肉や魚などを一切使用しない精進料理の汁物の1つです。
もともと関東では冬の様々な行事で食べる風習があり、節分の代表的な料理として定着しています。
作り方は地域や各家庭でも多少異なりますが、一般的には以下の通りです。
【けんちん汁の作り方】
- 根菜類(大根、ニンジン、里芋、ゴボウ)やこんにゃく、豆腐などを、香りのよいごま油で炒める
- 干しシイタケや昆布でとっただし汁を加え、野菜にしっかり火が通るまで煮込む
- 最後に醤油と塩で味を調えて完成
食物繊維が豊富に摂れることもあり、胃に優しい料理という印象ですね。
最近では精進料理という意味合いは薄れ、けんちん汁に牛肉や鶏肉を入れたり、顆粒の鰹だしなどを使用することもあります。
関東では節分の縁起物というより、体を温める意味で食べるようになったようです。
けんちん汁は神奈川県鎌倉市の「建長寺(けんちょうじ)」を発祥とする説や、江戸時代に中国から伝わった「巻繊(けんちん)」という料理に由来するという説もあります。
しもつかれ
節分の日に北関東で食べらる「しもつかれ」は、栃木県の代表的な郷土料理の1つです。
鬼おろしで粗く擦りおろした大根、ニンジンなどの根菜類、大豆、鮭の頭部を酒粕と共に煮込んで作ります。
もともとは2月の初午の日に、稲を象徴する農耕神を祀った稲荷神社へのお供え物とされています。
鬼が嫌うという魚の頭や豆まきに使用する大豆を使うことから、節分の邪気祓い(鬼除け・魔除け)の縁起物とされる食べ物です。
鮭の頭といえば臭いやクセも強いため、しもつかれは好き嫌いがハッキリ分かれるイメージもありますね。
関東でも栃木や茨城、群馬にお住まいの方以外は、聞いたことがないという人も多いようです。
節分の食べ物!関西は?
次に、関西でよく食べられている節分の食べ物をご紹介します。
今や全国区になりつつある恵方巻きや、鬼除けとして柊鰯の飾りでも有名ないわしがメインとなります。
恵方巻き
節分の食べ物といえば、ここ20年ほどで全国的に普及した恵方巻きが有名ですね。
もともとは関西というより大阪ローカルの風習で、太巻き寿司を丸かぶりする一部の地域から広まりました。
具材は七福神にあやかって7種類とされていますが、特に決まりがあるわけではありません。
かんぴょうや玉子焼き、桜でんぶ、キュウリ、漬物などが一般的ですが、高級な海鮮恵方巻きも流行していますね。
節分の日に歳徳神(としとくじん)がいる恵方を向いて食べると願い事が叶うといわれており、邪気祓いというより「福を呼び込む」意味で食べられています。
関西特有の風習だった頃に比べると、後付けで食べ方のルールもどんどん派生している点は面白いですね。
恵方巻きの由来については以下の記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
いわし
関西では節分の日にいわしを食べる習慣があり、主に西日本に普及していったようです。
もともと傷みが早い魚ですし、縁起物というイメージはありませんよね。
ただ、節分に柊鰯(ひいらぎいわし)を飾る風習のある関西ではポピュラーな食べ物の1つです。
柊鰯とは、柊の葉の付いた小枝にいわしの頭を焼いた物を刺して、「鬼除け・魔除け」として玄関先に飾るものです。
いわしは焼くと煙が出て独特の臭いも強くなりますし、鬼が嫌って寄せ付けない効果があります。
また、柊の葉は形状がトゲトゲしていて、鬼の目に刺さるといわれています。
飾るだけで「邪気退散」という訳ですが、家庭でいわしを食べる時は塩焼きの他、煮付けにすることもあります。
福茶
京都発祥で関西地方に古くから伝わる福茶も節分によく飲まれています。
正月や大晦日に飲まれることも多く、湯飲み茶碗に「黒豆・梅干し・結び昆布・山椒」などの縁起物を入れ、煎茶や熱いお湯を注げば完成です。
節分仕様として黒豆の代わりに「炒り大豆」を入れるのが一般的で、長寿祈願の縁起物とされています。
福茶は平安時代に「南無阿弥陀仏」と初めて唱えた人物「空也上人(くうやしょうにん)」の逸話が由来となっています。
疫病の流行で苦しむ人々を救うため、空也上人は六観音の1つとされる「十一面観音像」を作り、京の街を練り歩いたといわれています。
そして、この観音像のお供え物だったお茶を病人に飲ませると、奇跡的に多くの命が救われたというお話です。
疫病などの厄災は鬼の仕業だと考えられていたため、節分に飲む福茶には邪気祓いという意味も含まれています。
節分の食べ物!その他の地域は?
最後に、その他の地域で食べることの多い節分の食べ物をご紹介します。
ちなみに、豆まきに使用する大豆をイメージする人も多いですが、日本全国で食べられているとは限りません。
大豆
節分には欠かせない食べ物といえば、豆まきに使用する大豆です。
一般的には、前日に神棚に飾っておいた炒り大豆を「福豆」と呼び、年齢の数だけ食べる習慣がありますね。
大豆には「マメ(魔目)」を潰して鬼を退散させる意味の「マメ(魔滅)」の効力があるといわれています。
単なる語呂合わせと思われがちですが、平安時代に毘沙門天のお告げを受けた偉い僧侶が、炒り大豆で鬼を退治した伝説が由来となっています。
ただし、節分の日には食べ切れず残ってしまうことも多いですよね。
その場合は、郷土料理で有名な「呉汁(ごじる)」を作ったり、甘く煮付ける「座禅豆(ざぜんまめ・ざぜまめ)」にするのもオススメです。
砂糖やメープルシロップを絡めて甘いお菓子にしたり、チョコレートを絡める「福豆ショコラ」も人気ですね!
近年では落花生の需要が増えており、大豆でさえも地域によっては食べないこともあります。
落花生
昭和30年代あたりから、北海道を中心に節分の豆まきに使用されるようになった落花生。
子どものおやつやお酒のおつまみとしても高い人気を誇る食べ物です。
節分でのシェア率はなんと50%ほどもありますので、大豆とほぼ互角といってもいいですね。
豆まきに使われる地域は「北海道」「東北地方」「新潟」「長野」「宮崎」「鹿児島」と広範囲に及びます。
大豆と同じ邪気祓いの意味を持つ縁起物ですが、由来については・・・
- 雪深い地域でも殻ごと豆まきに使える落花生は見つけやすく拾いやすい
- あとで食べることを考えると殻がある方が衛生的
- エネルギー(熱量)の高い落花生は寒い地域の人に好まれる
- 宮崎や鹿児島は生産農家が多いから
といった説が有力視されています。
残ってしまった場合は、炒め物や揚げ物、サラダ、ピーナツ味噌などアレンジレシピも豊富ですね。
こんにゃく
四国に古くから伝わるのが、節分にこんにゃくを食べる習慣です。
その発祥や由来についてはハッキリしていません。
こんにゃくといえば食物繊維が豊富で、デトックス効果も高い食べ物として有名ですよね。
別名「胃のほうき」「砂おろし」と呼ばれ、立春を翌日に控える1年最後の節分の日に「身を清める」という意味があったようです。
ナマコ
島根県の隠岐の島では、節分の日にナマコを食べる習慣があります。
「海鼠」と書くナマコは、海底の餌となる栄養分とともに砂を一緒に取り込んでしまいます。
その後、砂のみを上手に体外に排出させて成長することから、こんにゃく同様「砂おろし」の別名があります。
老廃物を排出するデトックスの象徴的食材として、酢の物にして食べるのが一般的とされています。
蕎麦
節分に蕎麦を食べる風習は、信州(長野県)や出雲(島根県)に伝わる文化です。
どちらも蕎麦処として有名な地域ですね!
もともと江戸時代までは1年最後の締めくくりとして、「年越し蕎麦」を食べる習慣があったといわれています。
節分は旧暦12月末日ではないため昔の大晦日ではありませんが、同様に「年越し」という概念は存在していました。
「不老長寿」「悪い運を断ち切る」「金運に恵まれる」といった意味があります。
くじら
山口県に伝わる文化として、節分にくじらを食べる風習があります。
これは1年最後の日に「大きいものを食べると縁起がよい」とされているからです。
「大きな幸せに包まれる」「子どもが大きく成長してほしい」「大きな志を持って生きる」など、様々な意味があります。
くじらの肉といえば、お刺身はもちろん、竜田揚げ、ベーコン、皮の煮物などが有名ですね。
今は捕鯨自体が難しくなっている世の中ですが、節分の伝統が途切れることはないようです。
節分の食べ物!関東と関西、その他の地域では?意味や由来も解説!のまとめ
一口に節分といっても、関東や関西、その他の地域で食べ物も様々あります。
その多くは「邪気祓い(鬼除け・魔除け)」か、「福を呼び込むため」の2択となっています。
大豆や落花生、恵方巻き以外にも縁起物と呼ばれる行事食を食べて、立春からいいスタートを切りたいですね。
福茶、けんちん汁、蕎麦は比較的簡単に作れますので、ぜひ食べてみてくださいね。
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