【スズメバチの天敵】ハチクマとは?捕食方法や刺されない理由は?
強力な毒を持ち、人間にも大きな被害をもたらすことから恐れられているスズメバチ。
世界最強の昆虫とも言われていますが、実はハチクマという天敵が存在します。
あまり聞いたことのない動物ですが、人間でも亡くなってしまうほど危険なスズメバチをどのように食べるのか、捕食方法を調べてみました。
またハチクマはなぜ刺されないのか、その理由も気になりますね。
そこで今回は、【スズメバチの天敵】ハチクマとは?捕食方法や刺されない理由は?というテーマで詳しくご紹介します!
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【スズメバチの天敵】ハチクマとは?
まずはスズメバチの天敵と言われるハチクマとは、どんな動物なのかを見ていきましょう。
タカ目タカ科ハチクマ属の鳥で、日本では夏に渡来してくる渡り鳥として「夏鳥」に分類されています。
全長はオスが57cm、メスが61cmで少し大きく、サイズ的にはトビと同じくらいの大きさです。
羽を広げると135cm程度となり、他の猛禽類よりも翼は短いと言われています。
見た目がクマタカというタカに似ており、ハチを食べることから「ハチクマ」という名前が付けられました。
人間にとっては危険を減らしてくれるのでありがたいですが、スズメバチからしたら最悪の生き物ですね。
クマタカを含めた、ワシ、タカ、フクロウなどの猛禽類は、先が鋭く曲がったくちばしを持っています。
獲物の肉を引き裂くのに有効な形状となっているため、スズメバチの巣も簡単に壊せるのでしょう。
自然に生息する場合は木の枝等でこすってすり減らすため伸びすぎることはありません。
しかし動物園などで飼育されている場合には、定期的にやすりなどで削ってあげる必要があるそうです。
ハチクマは平成5年に、環境省が定める「国内希少野生動植物種」に指定されました。
絶滅のおそれがある野生動物として保護の対象となっており、野生のものを捕獲することは禁止されています。
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日本でのハチクマの活動期は?
スズメバチの天敵であるハチクマの日本での活動期は、夏鳥に分類されているため5~10月にかけてです。
東南アジアから渡来し、秋口の9月頃から南下するために飛んでいきます。
九州以北の各地で見られ、丘陵地から山地にかけての森林に生息し、単独かつがいで行動しています。
産卵期は6月頃と言われており、平均で卵を2個産み、メスのハチクマが孵すそうです。
孵化してから40日程度で巣立ち、その後60日もすれば親から独立してしまいます。
冬になると日本での活動期が終わり東南アジアに行きますが、また戻ってきたときには同じ縄張りで子育てをします。
そのため木の枝や葉っぱで作られたハチクマの巣は、毎年新しい巣材が加えられてどんどん大きくなるため、かなりの大きさになるそうです。
下にはたくさんの排泄物が貯まって栄養豊富な土ができアカマダラコガネの幼虫が発育すると言われています。
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【スズメバチの天敵】ハチクマの捕食方法は?
ハチクマの主食はハチ類ですが、スズメバチの捕食方法はどのようなものなのでしょうか?
実際に目にすることはなかなかありませんので、詳しく調査してみました。
1匹ずつ飛んでいるスズメバチを食べることもあるかもしれませんが、一般的には幼虫や蛹を食べているようです。
ハチクマはハチの動きを目で追い、巣の位置を特定していると言われています。
木の上に作られたものだけでなく、土の中にあるものまで掘り起こして巣盤を運びます。
このような捕食方法に、鋭いくちばしや爪が役立っているのですね。
スズメバチの幼虫や蛹がたくさん詰まった巣盤をハチクマは自分の巣に持ち帰り、中から1匹ずつ引き出して雛鳥に与えます。
蜂の子は人間でも食べるほどタンパク質などの栄養が豊富ですので、秋口から南下するためにも成長スピードを上げていると考えられています。
日本だけでなく渡来先の東南アジアでも、同じような捕食方法で巣を狙って食べているそうです。
ハチクマは世界中でスズメバチの天敵とされているのですね。
また猛禽類としては珍しく、集団で獲物を狙う捕食方法も見られています。
雛鳥を育てるために、つがいで協力しているようですね。
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【スズメバチの天敵】ハチクマが刺されない理由は?
人間でも刺されると命を落とすこともあるスズメバチですが、なぜハチクマは主食にできるのでしょうか?
刺されない理由については、実はあまり解明されていませんが、いくつかの説があります。
最も有力なのは、硬い羽が鱗のように密集して生えており、さらにその下にも分厚い羽毛が密生しているためです。
そのためスズメバチの毒針が皮膚まで貫通しないことが、ハチクマが刺されない理由として挙げられます。
しかし必ずしも攻撃を受けないわけではなく、頭部に羽が生えそろっていない若鳥は反撃されて退散することもあるようです。
刺されても逃げられるということは、毒が効きにくい体だとも考えられますね。
またハチクマの攻撃を受けたスズメバチは諦めて、巣を残して一斉に逃げていくこともわかっています。
これについても詳しくは判明していませんが、刺されない理由の1つとして考えてよいでしょう。
ハチクマにはスズメバチの攻撃性を奪うフェロモンや臭いを体から出しているという説や、波状攻撃をして防衛を諦めさせているという説があります。
もし正確に刺されない理由が判明すれば、今後人間にも使えるようになるかもしれませんね。
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【スズメバチの天敵】ハチクマが捕食する生き物は?
スズメバチの天敵とされているハチクマですが、他の生き物を捕食することもあります。
秋から冬にかけてハチの活動期が過ぎると、昆虫、小鳥、ヘビ、カエルなどの小動物を獲物にします。
スズメバチの巣が小さい時期ですと、栄養価の高い幼虫や蛹が少ないためでしょう。
特にカエルはよく捕食する生き物で、他の小動物よりも巣に持ち帰る割合が高くなっています。
日本ではあまり食べられていませんが、中国などの東南アジアを始めヨーロッパでも食べられています。
高タンパク低脂質で、スズメバチの幼虫や蛹のように栄養価が高いためだと考えられますね。
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養蜂場のミツバチを襲うことも!
ハチクマが好んで食べるのはスズメバチ類ですが、まだ巣が小さい時期には養蜂場にも訪れるようです。
ほとんどはムダ巣を狙いにきますが、稀にミツバチを襲うこともあります。
ムダ巣とは、巣箱の中をよい状態に保つために選別し、あえて捨てられた巣盤のことです。
農業でもよくある、間引きのようなものだと考えてくださいね。
こちらの動画は養蜂場にハチクマが現れたときのものです。
巣にたかるミツバチを物ともせず、くちばしと鋭い爪を器用に使って食べていますね。
このように捨てられた巣盤を食べ、残りは雛鳥の待つ巣まで運んで行きます。
動画にはありませんが、巣箱に頭を突っ込み、養蜂場に被害をもたらすハチクマもいるようです。
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まとめ
スズメバチの天敵とされているハチクマについてご紹介してきました。
人間が恐れるハチを物ともせず、巣盤ごと持ち去ってしまう最強の鳥だということがわかりました。
夏鳥ですので日本での活動期は5〜10月ですが、その期間スズメバチは怯えていることでしょう。
ハチクマを利用した対策ができればよいですが、国内希少野生動植物種に指定されているため、できないのが残念ですね。
捕食方法はわかっていますが、刺されない理由は判明していない謎の多い鳥です。
時期によっては養蜂場のミツバチを襲うこともありますので被害も考えられますが、研究を重ねてスズメバチ対策に役立つ情報がわかればよいと思っています。
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