夏至の食べ物といえば冬瓜!関東・関西をはじめ地域ごとの風習は?
1年を24等分の季節に分けた二十四節気の1つで、昼の時間が最も長いといわれる夏至。
期間としては6月21日頃~7月6日頃ですが、どんな食べ物を食べる風習があるのか気になりますよね。
夏至といえば冬瓜(とうがん)を連想する方も多いですが…
関東や関西をはじめ、地域ごとに昔から食べられている様々な食材や料理があります。
7月2日頃の半夏生(はんげしょう)の影響も大きいですが、各地の行事食についてまとめてみました。
そこで今回は、夏至の食べ物といえば冬瓜!関東・関西をはじめ地域ごとの風習は?というテーマでご紹介しますね!
夏至の食べ物といえば冬瓜!
夏至の食べ物といえば、夏に旬を迎える野菜の1つ「冬瓜」をイメージする人もいますよね。
冬瓜とはウリ科トウガン属の野菜で、冬まで貯蔵が利くことから冬瓜と名付けられたといわれています。
見た目通り味は淡白ですが、サラダや炒め物、スープ、煮物、あんかけなど様々な料理に重宝されています。
水分が90%以上で栄養価は決して高くはありませんが、カリウムを多く含むため利尿作用に優れ、ビタミンCの効果で疲労回復にも繋がるといわれています。
夏至に冬瓜が食べられるようになった主な理由は以下の通りです。
- 古代中国の時代から体を冷やす効果があると考えられてきた
- 水分補給による熱中症対策
- 疲労回復効果による夏バテ予防
また、季節的には真逆の冬至の頃にあんかけなどで食べると体が温まることから、夏から冬まで美味しくいただける食材の1つです。
決して夏至の行事食とまでは行きませんが、全国的にも比較的有名なのが冬瓜になります。
夏至の食べ物!関東の風習は?
関東では夏至の頃に新小麦を使った焼き餅を食べる風習があります。
作り方はもち米と収穫仕立ての小麦を半分ずつ使用し、餅を搗いた後に焼いて食べるのが主流です。
もともと関東では、小麦を収穫した後で稲作(田植え)を行う二毛作の農家が多かったといわれています。
そのため、新小麦の収穫への感謝と稲作の豊作祈願を兼ねて、焼き餅を神様へのお供え物としていました。
小麦を使っているため「小麦餅」と呼ばれることもありますが、「何事も粘り強く」という意味を込めて夏至の頃に食べるようになったという説もあります。
夏至の食べ物!関西の風習は?
関西では大阪を中心に夏至の頃にタコを食べる風習が根付いています。
タコといえば足が8本もあり、吸盤によって吸い付く力も強力なので、「稲の苗が地中でしっかり根を張るように」という意味が込められてます。
特に夏至の終盤に巡ってくる半夏生の頃は、稲作農家も田植えを終えてひと段落しますが…
稲の苗は寒暖差に弱く、梅雨寒(つゆざむ)の影響などで成長が阻害されることもあります。
そのため、関西では稲が丈夫に育つための縁起物としてタコを食べるようなったようです。
実際に夏至の頃になるとスーパーなどでも販売促進が行われていますが、関西ではたこ焼きや明石焼きなどを食べる機会も多いですし、刺身や煮物にしても美味しいですよね!
京都では水無月!
関西でも古都で知られる京都では、夏至の頃に水無月(みなづき)という和菓子を食べる風習があります。
白いういろうの上に甘く煮た小豆を載せ、三角にカットしたものが主流です。
京都では6月末日に神道儀式の「夏越の祓(なごしのはらえ)」を行う習慣があり…
上半期の穢れを祓い下半期の無病息災を祈願する際、水無月を食べるようになりました。
見た目にも涼し気でしっとりもちもちの食感が魅力ですが、昔から小豆の赤色には魔除けの効果があるといわれていますので厄や穢れを祓う意味でも最適ですね。
夏至の終盤に入る頃の風習ですが、実際には6月中旬頃から京都の和菓子店も忙しくなります。
奈良県では半夏生餅!
奈良県のほか、関西の一部地域では夏至の頃に「半夏生餅(はげしょうもち)」を食べる風習があります。
もち米と粗くつぶした小麦を原料とし、プツプツとした歯応えが楽しいお餅ですね!
関東と同じく小麦餅とも呼びますが、主にきな粉をまぶして食べるため…
見た目は静岡名物の安倍川餅によく似ています。
夏至の期間に田植えシーズンも終わりになるため、田の神を送る行事「早苗饗(さなぶり)」にお供えするお餅という意味で「さなぶり餅」と呼ぶこともあります。
関西圏では大坂や和歌山でも見かけることもありますが、奈良県を代表する郷土菓子の1つです。
夏至の食べ物!地域ごとの風習は?
関東や関西以外にも、夏至の頃には地域ごとに様々な食べ物を食べる風習があります。
他の都道府県の人では想像も付かないような食材などもありますので、有名なものをご紹介しますね!
基本的にはほとんどが地域に根付いた郷土料理です。
愛知県ではイチジク田楽!
愛知県では夏至にイチジク田楽を作って食べる風習があります。
作り方は至ってシンプルで、イチジクの実を半分または4分の1程度にカットし、味付けした田楽味噌を塗ってグリルで焼くだけ。
その他、イチジクの実を焼いたり電子レンジで加熱した後、田楽味噌を塗るという家庭も多いです。
「正直、美味しいの?」と思ってSNSを調べてみると、「夏至といえばイチジク田楽、超美味しい!」と絶賛する愛知県民の投稿が非常に多くて驚きました。
イチジクは栄養が豊富なことから「不老長寿・不老不死の果実」などと呼ばれており、田植えで疲れた体を癒すのにも適した食材ですね!
三重県ではミョウガ!
中部地方や近畿地方にも含まれることのある三重県では、夏至にミョウガを食べる風習があります。
ミョウガは薬味のイメージも強く、実に様々な形で食べられているようです。
サラダ、甘酢漬け、和えもの、田楽、肉巻き、お味噌汁の具材としても美味しくいただけます。
夏至の頃に旬を迎える「夏ミョウガ」を食べると、食欲増進の効果で暑い夏を乗り切れそうですね!
福井県では丸焼き鯖!
若狭湾に面した福井県では、夏至の時期に丸焼き鯖を食べる風習があります。
特に半夏生の日に食べられていて、真鯖を串にさして焦げ目がつくまでじっくりと焼き上げるのも特徴の1つです。
一説によると、大野地方の殿様が田植えを終えた農民をねぎらい、振舞うように命じたのが始まりともいわれています。
昔から若狭湾で獲れる海産物は良質といわれており、脂の乗った丸焼き鯖を食べて疲労回復に努めていたようですね!
香川県では讃岐うどん!
四国の香川県では、夏至の頃にうどんを食べる風習があります。
もともと「うどん県」としても有名なので、いつでも食べられている印象は否めませんね。(笑)
本来は農作業を手伝ってくれた身内や知人に振舞っていたといわれていますが…
夏至の頃には収穫して間もない特別な新麦を使えるようになるため、普段より格別に美味しいようですね!
1980年には香川県製麺事業協同組合が7月2日を「うどんの日」と制定し、香川県といえば讃岐うどんのイメージも普及しましたね!
九州では小麦餅や団子、饅頭!
九州では、夏至の頃に小麦餅や団子、饅頭などを食べる風習があります。
関東の焼き餅(小麦餅)や奈良県の半夏生餅と同じく、「小麦の収穫への感謝」と「稲の豊作祈願」を兼ねて神様にお供えしたのが始まりといわれています。
筆者の地元・熊本県では小麦粉を練った皮でカットしたサツマイモを包んで作る「いきなり団子」が有名です。
その他、串に刺した団子や饅頭など、九州では地域ごとに様々な和菓子が食べられています。
夏至の食べ物といえば冬瓜!関東・関西をはじめ地域ごとの風習は?のまとめ
夏至の食べ物についてご紹介しました。
一般的には冬瓜が有名ですが、関東や関西をはじめ様々な郷土料理を食べる風習もありますね。
特に6月頃に収穫時期を迎える新小麦を使った料理や和菓子は神様へのお供え物にも相応しく…
1年で最も美味しい時期といえそうです。
夏至の期間内には半夏生も巡ってきますが、梅雨や暑い夏場を乗り切るため、しっかり食べておきましょう!
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません