春暖の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！

2022年6月25日2022年7月3日はがき・手紙のマナー

手紙などに季節感を与えるために用いられる時候の挨拶の1つに「春暖の候」があります。

文字を見ると春を連想させる言葉ですが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう！

 

読み方や意味を理解しておくと、誤用して「常識のない人」と思われる心配も無用です。

春暖の候の使い方として私的な季節の挨拶状やビジネスレターの例文もまとめています。

 

文章等で重視される「結びの挨拶」とセットで覚えておくと重宝しますよ！

そこで今回は、春暖の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！というテーマでご紹介します。

 

春暖の候を使う時期はいつ？

春暖の候を使う時期は、例年3月中旬～4月末が目安となっています。

1年を24等分の季節に分けた二十四節気では「啓蟄」～「穀雨」にかかる比較的長い期間です。

 

以下に、春を中心とした二十四節気表をまとめていますので、確認してみましょう！

季節		二十四節気		旧暦月	新暦初日
春	初春	1	立春	1月節	2月4日頃
		2	雨水	1月中	2月18日頃
	仲春	3	啓蟄	2月節	3月6日頃
		4	春分	2月中	3月21日頃
	晩春	5	清明	3月節	4月5日頃
		6	穀雨	3月中	4月22日頃
夏	初夏	7	立夏	4月節	5月5日頃
		8	小満	4月中	5月21日頃

※二十四節気の順番は立春（1番目）を基準としています。

二十四節気（旧暦）の春は「初春・仲春・晩春」の3つの季節（三春）に分けられています。

その中で、春暖の候を使う時期は仲春～晩春の長期間に及びます。

 

使い始めは、立春から数えて3番目に巡ってくる節気「啓蟄」の半ばにあたる3月中旬。

使い終わりは、同じく6番目に巡ってくる中気「穀雨」の半ばにあたる4月30日となっています。

 

5月に入ると初夏を迎える5月5日頃の「立夏」が迫っており、春暖の候を使う時期から外れています。

わかりにくいという場合、本格的な春を迎える3月21日頃の「春分」～4月末としてもよいですね！

春暖の候の読み方は？

春暖の候の読み方は「しゅんだんのこう」です。

漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです。（※一部例外もあります）

 

春暖単体でも訓読みにすることはなく、「しゅんだん」として春の季語「暖か」の子季語になっています。

また、「候」は「そうろう」「さぶら（う）」「うかが（う）」「ま（つ）」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。

春暖の候の意味は？

春暖の候は「春の暖かな心地よい季節を迎えましたが…」という意味です。

そもそも春暖とは、本格的に春らしい暖かさに包まれることを表す言葉となっています。

 

一方、2月～3月上旬頃はまだ余寒が残っており、三寒四温を繰り返す時期です。

この頃には「春めく」という言葉が使われますが、まだ陽春の季節に達していない証拠でもあります。

 

春暖となると心も踊るようなポカポカ陽気になり、さらに4月に入ると桜が咲き乱れる春爛漫の季節を迎えます。

桜や菜の花が目にも眩しく、植物や昆虫、動物、私たち人間にとっても待ち焦がれた陽光も印象的です。

 

春暖の候には「春の盛りを迎え、万物が美しく麗しく見える頃」といったニュアンスも含まれています。

また、「候」は、暑さ寒さなどの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃を意味します。

春暖の候の使い方の例文と結び！

では、春暖の候の使い方の例文をご紹介します。

私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶とともに参考にしてくださいね！

 

漢語調の時候の挨拶の前提として「春暖の候」「春暖の折（おり）」「春暖の砌（みぎり）」のどれを使ってもOKです。

口語調（和文調）の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向もあります。

私的な季節の挨拶状の例文と結び

【書き出し】

• 拝啓　春暖の候、○○様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
• 拝啓　春暖の候、皆様ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
• 謹啓　春暖の候、皆様にはますますご壮健のことと拝察し、お慶び申し上げます
• 謹啓　春暖の候、ご家族様にはいよいよご清祥の由大慶に存じます。
• 恭敬　春暖の候、ご尊家におかれましては益々ご清適の趣慶祝の至りに存じます。

 

春暖の候だけで季節感は伝わりますので、続いて相手の健康を祝う言葉を入れておきます。

宛名の部分には「○○様」「皆様」「皆々様」「ご家族様」「ご尊家様」「ご一同様」などが入ります。

 

【結び】

• 桜の便りもすぐそこまで届いております。ご自愛の上ご活躍のほどお祈り申し上げます。敬具
• 花冷えの時節柄、くれぐれもお風邪などめされませんようご留意ください。蹴具
• 皆様にとって幸多き門出となりますよう、ご祈念致します。敬白
• 陽春の折、皆様一層のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。敬白
• 天候定まらぬ季節でございます。くれぐれもご自愛くださいますようお願い申し上げます。かしこ

 

結びの挨拶には、相手の健康を気遣う言葉や活躍を祈る言葉を入れておきます。

新天地での活躍を祈るような文章もオススメです。

 

また、冒頭の頭語と最後の締めくくりとなる結語の組み合わせは以下の通りです。

	頭語	結語
一般的な例	拝啓・拝呈・啓上・啓白	敬具・拝具・敬白・かしこ（女性のみ）
改まった例	謹啓・謹呈・恭敬・粛啓	謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ（女性のみ）

（※同じ行であればどの組み合わせでもOKです）

最もポピュラーな頭語は「拝啓」ですが、「謹啓」「謹呈」などはより改まった印象が強くなります。

ビジネスレターの例文と結び

【書き出し】

• 拝啓　春暖の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
• 拝啓　春暖の候、貴社いよいよご繁栄のことと拝察し、お慶び申し上げます。
• 謹啓　春暖の候、貴社にはますますご隆盛の段大慶の至りに存じます。
• 謹啓　春暖の候、貴店におかれましてはいよいよご清栄の御事慶祝の至りに存じます。
• 恭敬　春暖の候、貴社におかれましては益々ご隆昌ことと拝察し、お慶び申し上げます。

 

ビジネスレターでは相手の会社やお店の敬語「貴社・貴店」を使用します。（銀行は貴行）

「より一層」を意味する「ますます」「いよいよ」はどちらも同様に使えます。

 

【結び】

• 今後とも格別のお力添えを賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。まずは、書中にてご挨拶申し上げます。敬具
• 新年度もより一層のご厚誼を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。まずは、書中にて厚く御礼申し上げます。敬具
• 本年度も倍旧のご助力を賜りますよう、社員一同謹んでお願い申し上げます。略儀ながら、お礼かたがたご報告申し上げます。敬白
• 春陽のみぎり、皆様のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。略儀失礼ながら、書中にて深謝申し上げます。敬白
• 清和の折、貴社いよいよのご盛栄を弊社一同衷心より祈念致します。取り急ぎ、お礼とご報告まで。謹白

 

結びには「相手の会社の発展」や「今後の支援」を祈願する文章が望ましいです。

力添えを強調する際は、「格別の」「より一層の」「尚一層の」「倍旧の」などが使えます。

春暖の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！のまとめ