余寒の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!
余寒の候とは、手紙などに季節感を与えるために用いられる時候の挨拶の1つです。
「寒」という字から冬を連想させますが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう!
読み方や意味を理解しておくと、誤用して「常識のない人」と思われる心配も無用です。
余寒の候の使い方として私的な季節の挨拶状やビジネスレターの例文もまとめています。
文書等の締めとなる「結びの挨拶」とセットで覚えておくと便利ですよ!
そこで今回は、余寒の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!というテーマでご紹介します。
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余寒の候を使う時期はいつ?
余寒の候を使う時期は、例年2月4日頃~3月5日頃となっています。
これは、1年を24等分の季節に分けた二十四節気の「立春」~「雨水」の約30日間です。
以下に、旧暦の春を中心とした二十四節気表をまとめていますので、確認してみましょう!
季節 | 二十四節気 | 旧暦月 | 新暦初日 | ||
---|---|---|---|---|---|
冬 | 晩冬 | 23 | 小寒 | 12月節 | 1月5日頃 |
24 | 大寒 | 12月中 | 1月20日頃 | ||
春 | 初春 | 1 | 立春 | 1月節 | 2月4日頃 |
2 | 雨水 | 1月中 | 2月18日頃 | ||
仲春 | 3 | 啓蟄 | 2月節 | 3月6日頃 | |
4 | 春分 | 2月中 | 3月21日頃 | ||
晩春 | 5 | 清明 | 3月節 | 4月5日頃 | |
6 | 穀雨 | 3月中 | 4月22日頃 |
※二十四節気の順番は立春(1番目)を基準としています。
二十四節気(旧暦)の春は「初春・仲春・晩春」の3つの季節に分けられています。
その中で、余寒の候を使う時期は、初春全般(前半の節気と後半の中気)です。
使い始めは、二十四節気における最初の節気「立春」の初日にあたる2月4日頃。
使い終わりは、同じく2番目となる中気「雨水」の最終日にあたる3月5日頃です。
次の節気で3月6日頃の「啓蟄」を迎えると、季節は仲春に移り変わります。
すると、余寒の候を使う時期から外れてしまうため、前日5日頃までの使用にとどめます。
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余寒の候の読み方は?
余寒の候の読み方は「よかんのこう」です。
漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです。(※一部例外もあります)
余寒単体でも訓読みすることはなく、「よかん」として俳句の初春の季語になっています。
また、「候」は「そうろう」「さぶら(う)」「うかが(う)」「ま(つ)」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。
余寒の候の意味は?
余寒の候は、「暦の上では春なのに寒い時期が続いていますが…」という意味です。
そもそも余寒とは「寒の明けを迎えても尚残る(余る)寒さ」を表しています。
二十四節気の「小寒」と「大寒」を合わせた約30日間は、冬の寒さが最も厳しいため…
「寒(かん)」「寒中」「寒の内」などと呼ばれています。
ようやく寒の明けとなる立春を迎えたのに、まだ冬のような寒さが続いている頃に余寒という言葉を使います。
季節こそ真逆ですが、立秋(秋)を迎えた頃に暑さが続く「残暑」と対を成すイメージです。
2月も中旬以降になると雪国でも梅の花が咲き、徐々に雪解けの様子も見られます。
余寒の候には「三寒四温を繰り返し、本格的な春を待ちわびる頃」といったニュアンスも含まれています。
また、「候」は、暑さ寒さなどの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃を意味します。
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余寒の候の使い方の例文と結び!
では、余寒の候の使い方の例文をご紹介します。
私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶とともに参考にしてくださいね!
漢語調の時候の挨拶の前提として「余寒の候」「余寒の折(おり)」「余寒の砌(みぎり)」のどれを使ってもOKです。
口語調(和文調)の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向もあります。
私的な季節の挨拶状の例文と結び
【書き出し】
- 拝啓 余寒の候、○○様にはお健やかにお暮しのことと存じます。
- 拝呈 余寒の候、皆様ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
- 啓上 余寒の候、皆様にはいよいよご健勝のことと拝察し、お慶び申し上げます
- 謹啓 余寒の候、ご家族様にはますますご清福の段大慶に存じます。
- 恭敬 余寒の候、ご尊家様におかれましては益々ご壮健の由慶賀の至りに存じます。
余寒の候だけで季節感は伝わりますので、相手の健康を祝う言葉を入れておきましょう!
「より一層」のという意味の「ますます」「いよいよ」はどちらも同様に使えます。
【結び】
- 残寒厳しき折から、ぐれぐれもお身体をおいといください。敬具
- 三寒四温の時節柄、体調管理にご留意いただき、お健やかにお過ごしください。敬白
- そろそろ花粉症も始まる時節でございます。何卒お大事になさってください。かしこ
- 年度末を控えてこれからお忙しくなると思いますが、くれぐれもご自愛ください。謹白
- 梅花の折、幸多き春の門出をお迎えになりますようお祈り申し上げます。拝具
結びの挨拶には、相手の健康を気遣う言葉や幸福を祈る言葉を添えておきたいですね。
同時期に使用できる、別の漢語調の時候の挨拶を使って文章を構成する手もありますよ!
また、冒頭の頭語と最後の締めとなる結語の組み合わせは以下の通りです。
頭語 | 結語 | |
---|---|---|
一般的な例 | 拝啓・拝呈・啓上・啓白 | 敬具・拝具・敬白・かしこ(女性のみ) |
改まった例 | 謹啓・謹呈・恭敬・粛啓 | 謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ(女性のみ) |
(※同じ行であればどの組み合わせでもOKです)
よりフォーマルな印象にしたい時は、頭語に「謹啓」「謹呈」などを使います。
ビジネスレターの例文と結び
【書き出し】
- 拝啓 余寒の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
- 拝呈 余寒の候、貴店いよいよご盛業のことと拝察し、お慶び申し上げます。
- 啓上 余寒の候、貴社にはますますご繁栄の御事慶賀の至りに存じます。
- 謹啓 余寒の候、貴店におかれましてはいよいよご隆昌の趣慶祝の至りに存じます。
- 粛啓 余寒の候、貴社におかれましては益々ご盛栄ことと拝察し、お慶び申し上げます。
ビジネスレターでは、相手の会社やお店の敬語「貴社・貴店」を使用します。(銀行は貴行)
「~のここと」の代わりに「~のことと承り」とするとより丁寧な印象になります。
【結び】
- 今後ともより一層のご厚誼を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申しげます。まずは、書中にてご挨拶申し上げます。敬具
- 今後とも倍旧のお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。まずは、書中にてお礼かたがたご挨拶申し上げます。敬具
- 引き続き変わらぬお付き合いを賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。取り急ぎ、ご報告とお礼まで。拝具
- 立春のみぎり、皆様のご健勝とご活躍を社員一同衷心より祈念致します。略儀ながら、厚く御礼申し上げます。謹白
- 孟春の折、貴社ますますのご盛栄を弊社一同心よりお祈り申し上げます。誠に略儀ではございますが、ご挨拶申し上げます。頓首
結びには「相手の会社の発展」や「今後の支援」を祈願する言葉を入れておきます。
「まずは」「取り急ぎ」「略儀ながら」などを使って丁寧に締めるのが一般的です。
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余寒の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!のまとめ
- 余寒の候を使う時期は例年2月4日頃~3月5日頃
- 二十四節気の「立春」と「雨水」を合わせた約30日間
- 読み方は「よかんのこう」
- 意味は「暦の上では春なのに寒い時期が続いていますが…」
- 「三寒四温を繰り返し、本格的な春を待ちわびる頃」というニュアンスを含む
- 漢語調の時候の挨拶は主に改まった相手に使用される
余寒の候は暦の上では春を迎えているのに、冬のような寒さが残る時期に使われる時候の挨拶です。
お世話になっている方への季節の挨拶状やビジネスレターにご活用くださいね!
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