柏餅の葉っぱは何の葉?種類はあるの?くるむ意味や代用法も!
5月5日の端午の節句には欠かせない和菓子「柏餅」。
食べる時に剥がれにくい葉っぱでくるんでありますが、何の葉か考えたことがありますか?
実は一種類とは限らず、時代背景や地域ごとにも差があるようです。
また、そもそも柏餅を葉っぱでくるむ意味も気になりますよね。
家庭で作る時の代用法なども調べてみましたので、まとめて詳しくご紹介しますね!
Sponsored Link
柏餅の葉っぱは何の葉?
ズバリ、柏餅の葉っぱは「槲(カシワ)」の木の葉です。
槲とは「ブナ目ブナ科の落葉中高木」の一種で、葉のサイズが大きくて芳香を放ちます。
ブナ科の特徴でもあるドングリのような実がなる樹木で、柏餅をくるむのに適した葉っぱが取れます。
「えっ!柏の木じゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、本当の話です。
そもそも柏(カシワ)という木は、ヒノキ科コノテガシワ属の植物「コノテガシワ」を指しています。
しかも、針葉樹ということもあり、葉っぱの形状が針のように尖っています。
とても柏餅をくるめるような葉ではありません。
では、なぜ「柏」の字が使われているかというと、下記のような説が有力視されています。
- 柏の細い葉は昔、料理の盛り付けに利用されていたから
- コノテガシワは中国名で側柏(そくはく)とされ、「柏」の字が使われているから
一方の「槲」の葉は、古代から神聖なものとして神事に使われていました。
古代では大きくてしなやかな葉が食器として利用されており、食にまつわる大切な物として「柏」と混同されたようです。
もちろん中国名の影響も大きいかもしれませんね。
厳密に言えば「槲」の木の葉を使用しているので、「槲餅」と表記するのが正しいということになります。
ただし、そもそも「柏」には「食べ物を載せる器」という意味もあるため、柏餅という表記でも間違いではありません。
端午の節句のお供え物に利用されていることからも、神様への供物という神聖な意味も含まれています。
尚、「槲」が一般的というだけで、柏餅の葉っぱは他にもありますので、早速ご紹介しますね!
Sponsored Link
柏餅の葉っぱの種類は?
槲の葉を利用した柏餅が誕生したのは、江戸時代中期の江戸の街でのことです。
ただし、1930頃までは槲の葉が採れない地域が多かったため、全国的に見ると柏餅の葉っぱの種類も多いです。
【柏餅の葉っぱの種類】
- サルトリイバラ:ユリ目サルトリイバラ科シオデ属
- ナラガシワ:ブナ目ブナ科コナラ属
- 小楢(コナラ):ブナ目ブナ科コナラ属
- 朴の木(ホオノキ):モクレン目モクレン科モクレン属
- 茗荷(ミョウガ):ショウガ目ショウガ科ショウガ属
サルトリイバラに関しては、槲の葉を使う前から使用されていたものです。
江戸時代以降も槲の葉が採集できない地域が多かったため、特に関西地方以西の地域で柏餅の葉っぱとして普及したといわれています。
また、東北・三陸・山陰地方などではサルトリイバラの葉を端午の節句のちまきに利用することもあります。
サルトリイバラの葉には「鋸歯(きょし)」というギザギザがなく、丸みを帯びているのも特徴です。
朴の木の葉も波状ではありますが、「鋸歯」が無いため槲の葉とは異なることがわかるはずです。
名荷の葉は細長い印象がありますし、小楢はギザギザが強いため、ナラガシワが波状の鋸歯を持っていて最も相応しいイメージです。
といっても、すべて柏餅の葉っぱの種類に含まれるものですので、実際に利用されている葉ばかりです。
槲と同じブナ科コナラ属の木の葉形は様々ですが、他にも柏餅に使われているものがあるかもしれませんね!
端午の節句にちまきを食べる由来とは?主に西日本で食べられる理由も!
柏餅の葉っぱには毒性はないの?
柏餅を葉っぱごと食べるという人も多いかもしれませんね。
槲をはじめ、サルトリイバラ、ナラガシワ、小楢、朴の木、名荷の葉に毒性はありません。
ただし、柏餅の葉っぱは桜餅のように食べることを目的にくるまれている訳ではありません。
塩漬けしてあるものと仮定しても、葉脈が大きくて筋っぽく、食感も悪いです。
毒性はありませんが、メーカーとしても食べないことを推奨しています。
また、韓国や中国から槲の葉が輸入されていますが、残留農薬を心配する声もあります。
柏餅を1度にたくさん食べることもありませんが、その点は気にかけておいた方がよいかもしれませんね!
Sponsored Link
柏餅を葉っぱでくるむ意味は?
江戸幕府九代将軍・徳川家重の頃に誕生したといわれている柏餅。
槲の葉っぱでくるむ意味は「子孫繁栄」の縁起を担いだものといわれています。
槲は落葉中高木の一種ですが、翌年新芽が育つまで古い葉が落ちないという特徴があります。
この姿から、以下のような意味や願いが込められていたようです。
- 必ず継嗣(あととり)が誕生する
- 代が途絶えることが無い
- 親より先に子が亡くなることもない
特に、武家社会において家督を継ぐ者が誕生しなければ、「お家断絶」の危機に陥っていました。
断絶に追い込まれた家を他者が継ぐこともありましたが、実子や血縁関係者が家督を継承するものとは区別されていたのです。
柏餅を葉っぱでくるむようになると同時に、槲の葉を家紋に取り入れることも増えていきました。
それだけ家のあととりが生まれ、無事に大人に成長することが大切にされた時代だったのです。
ただ、現在では柏餅を葉っぱでくるむ意味も、縁起物から実用的なものに変化しています。
桜餅をはじめ、椿餅、朴葉巻、柿の葉餅、がめの葉餅(サルトリイバラ使用)、沖縄のムーチーなど、お餅を葉で包むお菓子にも通じるものがあるかもしれませんね!
早速、詳しくご紹介していきます。
香り付け
まずはなんといっても香り付けですね!
柏餅は上新粉で作った餡入りのお餅を、槲の葉でくるんでから蒸すこともあります。
一口食べると爽やかな香りが広がり、鼻に抜けるような心地良い感覚も味わえます。
もともと発祥の時に槲が選ばれたのも、若葉が眩しい季節を連想させる香りがあったからのようです。
葉っぱでくるむお餅のほとんどが、香り付けの意味があると思います。
抗菌作用
槲の葉には「オイゲノール」という成分が含まれ、抗菌作用を持っているといわれています。
実は、これが柏餅の芳香の元となっており、シナモンやローリエ、ナツメグ、バジリコなどにも含まれています。
多少、刺激があるもので、葉っぱ独特の香りもオイゲノールによるものです。
発祥当時は衛生面での問題があったと思われますが、昔の人が抗菌作用を察知できたのは凄いことですよね。
乾燥防止
次は、柏餅の乾燥防止のため、葉っぱでくるんでいるようです。
そもそもお餅やお団子が固くなるのは、水分が蒸発して乾燥してしまうからです。
時間が経っても柔らかくて美味しい柏餅をいただくためには、葉っぱの存在も大きいですね。
市販されているものだと保水効果の高いトレハロースや砂糖を使用している場合も多いです。
包装目的
最後は、包装を目的としてくるまれていることです。
柏餅の葉っぱを剥がそうとすると、くっついてなかなか剥がれないこともありますよね。
それだけお餅自体に粘りがある証拠ですが、ベタベタしていると和菓子屋さんのショーケースに並べるのも大変です。
スーパーでも発砲スチロールの皿にそのまま柏餅を載せて、上からラッピングしてあることも多いですね。
たかが葉っぱ一枚ですが、包装目的としての意味は大きいと思います。
わらび餅の原料!スーパーの市販品から本わらび粉まで徹底解説!
Sponsored Link
柏餅の葉っぱは別の物で代用できる?
ご家庭で柏餅を作りたいという方も多いと思います。
その際、槲の葉っぱが無くて、別物で代用できないかと考えるケースもありますよね。
ネット上で詳しく調べた結果、もともと代用品であるサルトリイバラ、ナラガシワ、小楢、朴の木、名荷の葉は利用できそうです。
生の葉を塩漬けするには時間が掛かり過ぎますが、水洗いをして10分程度茹でるだけでも作れます。
ただし、そう簡単にお目当ての木が見つからないと思いますので、5つだけ代用法をご紹介します。
【柏餅の葉っぱの代用法】
- 笹の葉を使う(お団子やちまきにも利用されています)
- 枇杷の葉を使う
- 椿の葉を使う(2枚必要)
- 市販の葉っぱを購入する(見つからない場合はネット注文)
- ビニール製の葉っぱを購入して使う
笹の葉は比較的手に入りやすく、スーパーやネット通販でも購入できますね。
購入したものは衛生面や抗菌作用に優れ、柏餅以外にも様々な活用法があって便利です。
枇杷の木や椿の木があれば、生の葉っぱを茹でて使うことができます。
椿だと「椿餅」になりそうですが、少し風味が違うだけで味は柏餅と同じですね。
市販でも「柏の葉」として売っていますし、見つからない場合はネット検索すると出てくるはずです。
ちなみに「サンキラ葉」というのはサルトリイバラの葉の別名ですので、代用品として使うことができます。
あまり好ましくはないですが、市販のビニール製の葉っぱも利用可能ですね。
100均ショップでも買える可能性がありますので、探してみてくださいね。
(※ダイソーをよく利用していますが、どの店舗も電話対応が丁寧ですよ!)
Sponsored Link
柏餅の葉っぱは何の葉?種類はあるの?くるむ意味や代用法も!のまとめ
柏餅の葉っぱは何の葉っぱ?というテーマを中心にご紹介しました。
本来はブナ科の「槲」という木の葉を使い、「槲餅」と書くのが正解みたいです。
あまり小さいことにこだわる必要もありませんので、柏の葉を使ってご家庭で作ってみるのも良いでしょう!
地域によって意外と種類も豊富ですし、西日本ではサルトリイバラの葉が本物だと思っている人も多いですよ。
お餅が葉っぱにくっついて剥がしにくい場合、お皿に載せて少量の水を垂らし、20秒ほどレンジにかけると綺麗に剥がれます。
代用できるものも庭の木や市販で手に入りますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
もともとは「子孫繁栄」の縁起物ですし、ゴールデンウィーク最終日の端午の節句にお子様と一緒に食べて欲しいです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません