わらび餅の原料!スーパーの市販品から本わらび粉まで徹底解説!
夏にピッタリの和菓子で、プルプル食感と口溶けがたまらない「わらび餅」。
ただ、その原料には様々なものが使われていることをご存じでしょうか?
本来はわらび粉を使って作るものですが、スーパーやコンビニで市販されているものとは大きく異なります。
希少価値の高いわらび粉100%のわらび餅だと、コストがかかり過ぎてしまうのです。
そのため、葛粉(くずこ)や加工デンプンなどが原料として使われていますが、イマイチわかりづらいですよね。
そこで今回は、わらび餅の原料!スーパーの市販品から本わらび粉まで徹底解説!というテーマで詳しくご紹介します!
Sponsored Link
わらび餅の原料・本わらび粉とは?
まず、主に奈良県が名産地として有名な、昔ながらのわらび餅の原料は「わらび粉」です。
山菜のわらびの根っこ(地下茎)から抽出できるデンプン質を、人工的に粉にしたものと考えるとわかりやすいですね。
「本物のわらび餅の原料(澱粉)」という意味で「本わらび粉」と呼ばれることもあります。
そもそも、わらび自体が若芽(葉)を伸ばしていない真冬の時期に粉の精製まで行われるため、大変手間の掛かる上質な澱粉となっています。
本わらび粉にするまでの工程は、以下の通りです。
- わらびの地下茎を堀って取り出す
- 叩いてほぐし、柔らかくする
- 水洗いをしてデンプン質を抽出する
- 抽出したものを乾燥させて澱粉にする
冬の冷たい水で何度も洗って乾燥させることで、数十日掛けてようやく灰褐色をした澱粉の精製が終了します。
さらに、天然わらびの地下茎10kgから採取できる本わらび粉は70g程度と極わずかですので、希少価値も高くなっています。
当然ながら価格も高く、たった100gで2500円~3000円もするケースもあります。
老舗高級和菓子店などで利用されていますが、スーパーで取り扱うような市販のわらび餅の原料となることはほぼありません。
本わらび粉で作ったわらび餅は無色透明ではなく、やや色の濃い茶褐色をしています。
プルプル食感はありますが、どちらかというと口溶けが滑らかで、あっという間になくなるほどの柔らかさです。
難点を挙げるとすれば、本わらび粉のみで作ったわらび餅は、保存に適した添加物が入っていないため、日持ちが悪いのも特徴の1つです。
業務用スーパーやネット通販で購入される際は「葛粉」「タピオカ粉」などが混じったものも多いため、成分表を確認する必要もあります。
Sponsored Link
わらび餅の原料・葛粉とは?
希少価値の高いわらび粉の代わりに、わらび餅の原料として使われることの多い「葛粉」。
「秋の七草」の1つとして有名なマメ科のつる性植物「葛(くず)」の根から抽出されるデンプン質を粉にしたものです。
「葛餅」「葛切り」「葛饅頭」「水まんじゅう」の原料としても有名で、料理などのとろみづけに利用されることもあります。
葛の根から精製される葛粉は、老舗和菓子店でもわらび粉に混ぜてわらび餅を作ることも珍しくありません。
葛粉まで精製するのも非常に手間の掛かる作業で、一般的な工程は以下の通りです。
- 真冬に葛の根を掘り起こす
- 泥を落として粉砕する
- しっかり水洗いをして絞り汁を溜める
- 絞り汁に沈殿したデンプン質を抽出
- 不純物を取り除くためにあく抜きと沈殿を繰り返す
- 最後に乾燥させて上質な澱粉のみに精製
なぜ真冬に精製まで行うかというと、わらび粉同様、寒い時期に根っこのデンプン質が豊富になるからです。
葛という植物の多さから比較的手に入りやすいですが、良質な葛粉になると希少価値も高いものとなっています。
わらび餅の原料として使う場合、よりみずみずしくてツルツルとした食感が楽しめます。
ちなみに、関東の葛餅は小麦粉に含まれるグルテンを取り除いて精製される澱粉「浮き粉」を使用していますので、関西のものをイメージする方がわかりやすいです。
Sponsored Link
わらび餅の原料・スーパーの市販品は加工デンプン!
スーパーやコンビニなどで市販されている安価なわらび餅の原料は、大抵「加工デンプン」です。
主にサツマイモやキャッサバ芋などに化学的・物理的・酸素的処理を行い、天然のデンプンの特性を改良したものを呼んでいます。
キャッサバ芋という名はあまり知られていませんが、タピオカの原料となる芋のことです。
その他、ジャガイモやレンコンなどからも加工デンプンを作り、わらび餅の原料として使われている場合もあります。
大きなメリットとしては、通常のわらび粉とは比べ物にならないほど大量生産が可能なこと。
そして、市販品になると1パック100円~150円程度で購入できるほど安価なことが挙げられます。
本物のわらび餅が濃い茶色をしているのに対し、ほとんどが無色透明で見た目にも清涼感がありますよね。
きな粉や黒蜜がセットになっていて、お手軽にわらび餅を食べられるとあって人気商品の1つです。
ただし、スーパーやコンビニなどで購入できる市販品には、加工デンプン以外の原料も含まれています。
デキストリン、ソルビトール、トレハロースなどですが、主なメリットも含め、ここでご紹介しておきますね!
デキストリンとは?
スーパーで購入できるわらび餅には「デキストリン」が含まれていることがあります。
デキストリンは熱や酸、酵素などによりデンプンを分解したものです。
メリットとしては、化学的に様々な大きさに変化させるだけで異質のデキストリンが完成し、その効果も大きく異なる点にあります。
たとえば、以下のような特徴が挙げられます。
- 水に溶ける・溶けない
- サラサラする・ネバネバする
- 甘くなる・甘くならない
- とろみが付けられる
- 照りが生まれる
- 他の粉状食品を水に溶けやすくする
デキストリンの性質の違いは、含まれる食品の性質を180度変化させることもあります。
わらび餅の原料として含まれているのは、甘味を出したり、粘度を利用してモチモチとした食感を生み出すためです。
ちなみに、デキストリンは食品添加物ではなく、食品に分類されています。
ソルビトールとは?
シュガーレスガムの甘味成分でお馴染みの「ソルビトール」も、わらび餅の原料に含まれていることがあります。
バラ科の植物から発見された糖アルコールの一種で、食品添加物として利用されています。
ソルビトールには高い保湿効果があるといわれています。
スーパーで購入したわらび餅もその効果によって、水分が蒸発しにくく柔らかさを保ちやすくなっています。
トレハロースとは?
別名マッシュルーム糖とも呼ばれる「トレハロース」は、キノコ類などに多く含まれる天然の糖質の一種です。
わらび餅の原料となるデンプンの劣化を防ぎ、品質を保つ効果があります。
保湿効果が高いのも大きな特徴で、団子やお餅を使った和菓子に入れることで、水分の蒸発を防いで固くなるのを予防してくれます。
最近ではスーパーやネット通販でも購入することができますが、和菓子店などでも利用されていますね!
Sponsored Link
わらび餅の原料・片栗粉は手作りに人気!
最近では、わらび餅をご家庭で手作りする人も増えています。
一般家庭にある身近な澱粉で代用できるのですが、料理のとろみづけに重宝する片栗粉は原料として最適で、主婦層の間でも人気が高くなっています。
もともと片栗粉とは、ユリ科カタクリ属の「カタクリ」という植物から精製される澱粉のことです。
ただし、カタクリ自体がなかなか取れないこともあり、市場に出回っているほとんどはジャガイモを使った馬鈴薯澱粉となっています。
作り方も非常に簡単で、まず片栗粉、砂糖、水を鍋に入れて火にかけ、粘りが出るまで絶えずヘラでかき混ぜます。
粘りと共に透明になってきたら、火から下して生地をまとめて氷水に入れて冷やします。
その後は、包丁で切っても手でちぎってもよいですが、最後に水気を切り、きな粉や黒蜜をかければ完成しますね!
もちろん本わらび粉を使ってもよいですが、片栗粉を原料にしてもプルプル食感の美味しいわらび餅が作れます。
Sponsored Link
わらび餅の原料!スーパーの市販品から本わらび粉まで徹底解説!のまとめ
見た目にも清涼感のあるわらび餅ですが、原料は様々なものが使われていますね。
とくにスーパーで見かける市販品は、サツマイモなどを利用した加工デンプンが多くなっています。
デキストリン、ソルビトール、トレハロースも、食感や品質を保つ意味でも重要な役割を果たしていますね。
純100%の本わらび粉も意外と少ないですが、ぜひネット通販などで探してみてくださいね。
ご家庭で手軽にできる片栗粉を利用しても、お子様には大人気のおやつになると思います。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません