初正月のお祝いの仕方と金額!のし袋の選び方や表書きの書き方は?
赤ちゃんが誕生し、初めて迎える正月のことを「初正月」といいます。
今ではお祝いの仕方もご存じではないという方も増えていますが、昔から大切な風習の1つとして守り続けている地域もあります。
大人のマナーとして、ご祝儀の金額の相場をはじめ、のし袋の選び方、表書きの書き方などはぜひ知っておきたいですね。
また、年始のイベントということもあり、お祝いをいつ渡すかなども配慮が必要になってきます。
そこで今回は、初正月のお祝いの仕方と金額!のし袋の選び方や表書きの書き方は?というテーマで詳しくご紹介します。
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初正月とは?昔は盛大にお祝いしていた
現在では馴染みの薄いイベントになりましたが、昔は数え年を採用していたため、日本では初正月を盛大にお祝いするという風習が根付いていました。
数え年には0歳という概念がなく、生まれた時点で1歳、その後は1月1日(元日)を迎える度に歳を取るという考え方ですので、赤ちゃんにとっては2歳になる日だったのです。
食べ物や医療、衛生面から見ても、現代とは比べ物にならない時代背景でしたので、初正月で歳を取るということは非常におめでたいことでした。
生まれてすぐに亡くなることも珍しくない時代でしたので、盛大にお祝いする気持ちはわかるような気がしますね。
赤ちゃんが無事に1つ歳を重ねたことを祝福し、その後も健やかに成長してくれることを祈る、大切なイベントだったのです。
もちろん今も尚、初正月を大事に継承されている地域もありますよ!
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初正月のお祝いの仕方
今では初正月のお祝いの仕方も簡素化されているイメージは拭えません。
核家族化も進み、住宅事情も大きく変化していますので、親戚中が集まって祝宴を開くことも少なくなっているようです。
そんな時代の中でも最も有名なのが、「破魔弓」「破魔矢」「羽子板」を飾ることでしょう。
ガラスやアクリルのケースに入った豪華な飾り物ですが、和室の床の間などに飾ってあるというお宅も多いかもしれませんね。
盛大なお祝いの仕方とは行きませんが、縁起物でもある飾り物を用意する風習は比較的今も残っているようです。
初正月を迎えた赤ちゃんが男の子でも女の子でも、健やかな成長を祈る意味は変わりませんが、飾り物自体の意味は多少異なってきます。
男の子には破魔弓・破魔矢を
男の子の場合、破魔弓(破魔矢をセットにしたものの総称)を飾るのが一般的です。
飾り物が持つ意味は下記の通りです。
- 強くたくましく育つことを願う
- 男の子の立身出世を願う
- 魔除け
男の子らしく、強くたくましく成長してほしいと願う気持ちが込められた破魔弓。
実は、中国に伝わる道教系の武神・鍾馗(しょうき)が端午の節句に現れ、弓で悪霊を払い除けるという伝説に由来します。
その弓には魔除けの効果があるとされ、日本の宮中に伝わったのは飛鳥時代以前のことです。
日本では天武天皇の時代、正月に「大射(おおゆみ)」の儀式として弓矢で的を射る技術を競う「射礼(じゃらい)」が規定されています。
天智天皇(中大兄皇子)の時代やその後の奈良・平安時代になると、より盛んに行われるようになりましたが、その後、追儺(ついな)と呼ばれる儀式へ変化しています。
追儺とは大晦日に行われていた宮中行事の1つで、疫病や疫神を払う儀式でした。
まだ競技として行われていた平安時代前期、弓矢で狙う的(まと)のことを「浜(はま)」と呼んでおり、弓矢は浜弓(はまゆみ)や浜矢(はまや)と呼ばれていました。
その後、鍾馗の伝説や追儺の儀式から「魔除け」の意味を持たせ、語呂も良いということで「破魔弓」「破魔矢」という字が当てられています。
ちなみに、破魔矢は神具や縁起物として正月に神社などで授与されることも多いですが、矢の先端が鋭利な形をしていません。(※豪華破魔弓セットなども同様です)
射る対象が人間や動物、物などではなく、魔物が放つ邪気・邪心・邪念といった目には見えない妖気を浄化させるための神聖な武具ですので、尖っている必要が無いのです。
武具として勇ましさを象徴し、さらに魔除けの神具としての意味を持つ豪華な破魔弓のセットは、男の子の初正月のお祝いに相応しい飾り物ですね。
その他のお祝いの仕方として、天神人形(菅原道真を神格化した雷の神)を飾ったり、凧を揚げるなど、地域によって今も継承されている習慣があります。
女の子には羽子板を
女の子の場合、豪華な羽子板を飾るのが一般的です。
武勇に秀でる必要は無いとされていましたので、飾り物の主な意味は下記の通りとなっています。
- 無病息災
- 魔除け
羽子板の歴史は7世紀頃まで遡り、宮中で行われていた「毬杖(ぎっちょう)」に由来すると言われています。
現在のホッケーに似た遊びで、先端が箆(へら)のような形をした杖で、毬(まり)を打ち合う競技でした。
次第にこの杖が変化し、羽子板のモデルとなったようです。
12世紀後半の鎌倉時代に入ると、羽根つき遊びが行われるようになり、室町時代の文献「下学集」によると羽子板を胡鬼板(こぎいた)、羽根を胡鬼子(こきのこ)と呼んでいました。
当時の胡鬼子は蚊を食べる益虫・蜻蛉(トンボ)を模して作られており、女の子が夏場に蚊に刺されて病気になるのを防ぐ意味で、無病息災を願っていたとされています。
また、胡鬼子の先に付いている硬くて黒い球は「無患子(むくろじ)」という樹木の種で作られており、「子どもが患うことの無いように」といった意味が込められていました。
つまり、羽根突き遊びはもともと「羽子板を使って魔物をはね(羽根)のける」という魔除けの意味を含んだ宮中の正月遊びの1つだったのです。
その後、羽子板は「遊び用」と「厄払いの飾り用」の2通りに分かれることになりますが、江戸時代に入ると歌舞伎役者などの姿をかたどった「押絵羽子板」が流行します。
同時に、正月に女の子に魔除けの意味であげる習慣が広がり、現在でも初正月のお祝いに飾る風習が残っています。
その他のお祝いの仕方としては、地域によって人形や手毬を贈る習慣もあるようです。
破魔弓・破魔矢・羽子板は誰が贈るべき?
初正月に飾る破魔弓・破魔矢・羽子板は誰が贈るべき?と疑問に思う方も多いですが、もともと赤ちゃんから見て母方の実家(祖父母)が贈る物とされていました。
嫁いだ先の娘が無事に孫を出産したことを讃え、祝福の意味を込めて贈るのが一般的で、逆に男性が養子として婚姻関係を結んだ場合、父方の実家が贈っていたようです。
しかし、現在では誰が贈っても問題は無いという考え方が普及し、両家の祖父母が折半して贈ることも多くなっています。
もちろん、親戚の方や赤ちゃんの両親が自分たちで購入するケースもありますが、孫の誕生をお祝いするという視点から、祖父母が購入して贈るのが一般的な考え方のようです。
注意したいのは、両家の祖父母がそれぞれ贈ったり、どちらも贈ることがないという事態も想定されますので、孫の初正月が迫ってきたら、両家同士で相談し合うのが良いかもしれません。
初正月に飾る破魔弓・破魔矢・羽子板は縁起物ですので、特に親戚間でトラブルにならないよう、誰が贈るのか事前に話し合いの場を設けておくことが大切ですね。
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初正月のお祝いの金額!
初正月を迎える赤ちゃんへのお祝いの金額(のし袋に包む額)は、いくら以上ではならないといった決まりはありません。
祖父母の場合、孫の誕生で奮発したくなる気持ちもわかりますが、飾り物を贈ることもありますし、あまり高額になり過ぎても息子や娘夫婦の「お返し」の負担を増やしてしまいます。
また、兄弟姉妹の子(甥・姪)にお祝いを贈る場合や、親戚や友人の子へ贈る場合も金額の相場というものがありますので、妥当な額を立場別にご紹介します。
敢えてポイントを挙げるとすれば「高額や低額になり過ぎない」という範囲にとどめておくことです。
祖父母から孫へ
祖父母の場合、可愛い孫の初正月ということでお祝いの金額も奮発しがちですね。
相場として1万円~3万円ほどとなっています。
破魔弓・破魔矢・羽子板を贈ることも珍しくありませんので、のし袋(祝儀袋)に包む金額はそれほど高額ではありません。
孫が誕生して成長する過程において、節目ごとに様々なお祝いごとが巡ってきますので、無理のない範囲にしておくのがベストですね。
赤ちゃんの父母となった自分の子が「お返し」を検討していることも考慮しておくことも大切です。
兄弟・姉妹の子(甥・姪)へ
兄弟・姉妹の子(甥・姪)へお祝いを贈る場合、金額の相場は5000円ほどです。
甥っ子や姪っ子となると格段に可愛いという気持ちもあると思いますが、ご自分の立場をわきまえて贈ることが大切ですね。
贈る側としては、まだ学生という場合も予想されますので無理は禁物です。
兄弟・姉妹の間柄では事情も把握されていると思いますので、社会人になってから少し奮発するのも良いでしょう。
どうしても目標の金額が用意できない場合、赤ちゃんが喜びそうな細やかなプレゼントだけでも問題はないでしょう。
親戚や友人の子へ
親戚の子が初正月を迎えた場合、お祝いの金額は1万円程度が相場となっています。
5000円程度にとどめておいて、別途プレゼントを用意するのもオススメです。
親戚といっても、普段から頻繁にお付き合いのある方、遠くに住んでいて疎遠な方など、様々なケースが考えられます。
疎遠になっている方の場合、絶対に贈らなければならないということもありませんので、普段のお付き合いの頻度なども考慮しながら金額設定すると良いかと思われます。
また、友人の子の初正月をお祝いしたいという方も多いですね。
金額の相場は3000円~5000円程度ですが、別途プレゼントを用意すると喜ばれると思います。
ちょっとした玩具や歯固めの他、よだれ掛けなどの必需品でも良いですが、親しい間柄ですので欲しい物を直接相談してリサーチしておくのも良いでしょう。
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初正月のお祝いに使うのし袋の選び方と表書きは?
ここでは、初正月のお祝いに利用するのし袋(祝儀袋)の選び方や表書きの書き方をご紹介していきます。
特に水引きの部分はお祝いごとの種類によって形が異なりますので、注意しておきましょう!
また、のし袋を用意してお金を包んだものの、表書きに何と書けば良いのかわからない方も多いと思います。
馴染みの薄いお祝いごとですが、この際しっかり覚えておきたいですね。
のし袋の選び方と水引き
今では馴染の薄い初正月ですが、立派なお祝いごとですのでのし袋(祝儀袋)にお金を入れて贈る必要があります。
お年玉の時期でもありますが、小さなポチ袋を利用するのはやめておきましょう。
選び方のポイントとしては・・・
- 金額により大きさを変える(1~3万円ならスリム、3~5万円な中サイズが目安です)
- 水引きは蝶結び(花結び)のものを用意
- 水引きが印刷されたものは避ける
のし袋の大きさは金額の大きさに比例して選びますので、大ならば5~10万円、特大ならば最高200万円などが目安となっています。
初正月のお祝いであれば、「スリム」「中」サイズで良いと思われます。
また、水引きは赤ちゃんが今後何度も正月を迎えられるよう蝶結び(花結び)を選びますが、紅白や金銀でも問題ありません。
結婚や葬儀(不祝儀袋)などの様に一度切りにしたい場合は結び切りのものを選びますので、間違いのないようにお願いします。
さらに、印刷されたのし袋もありますが、本来「心づけ」や「ちょっとしたお礼」などに利用するものです。
絶対にNGとは言えませんが、出来れば本物の水引きを利用した物を選ぶのがオススメです!
表書きの書き方
のし袋を選んだら、初正月のお祝いに相応しい表書きの書き方をご紹介します。
水引きの上部に書く文言は主に下記の通りです。
- 「初正月御祝」
- 「祝初正月」
- 「奉初正月」
- 「御祝」
- 「破魔弓料」
- 「羽子板料」
豪華破魔弓のセットや羽子板の購入資金として渡す場合は、そのまま「破魔弓料」「羽子板料」としても問題ありませんので、状況に合わせて表書きの文言を変えてくださいね。
水引きの下には贈る側となるご自身の名前を記入します。
名前は表書きの文字よりやや小さめに書くのがマナーですね!
初正月のお祝いはいつ渡すべき?
初正月のお祝いはいつ渡すべきかという疑問も出てきますね。
のし袋にお金を包んだものであれば、年末の12月28日頃までに渡しておきましょう!
また、破魔弓のセットや羽子板を贈る場合は、飾る準備期間も考慮し12月中旬を目安に贈ります。
クリスマス飾りとの兼ね合いもあるため、一般的な正月飾りと同じく12月28日頃に飾ることが多くなっていますが、早めに贈っておいた方が赤ちゃんの両親としても準備しやすいですね。
破魔弓料や羽子板料として渡す場合も12月中旬を目安にしておくと良いでしょう。
初正月のお祝いといっても、新年を迎えてから渡すのはNGとなりますので、早めの準備を心掛けておきたいですね。
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初正月のお祝いの仕方と金額!のし袋の選び方や表書きの書き方は?のまとめ
初正月のお祝いの仕方や金額の相場を中心にご紹介しました。
今ではあまり聞き慣れない祝いごとの1つになりましたが、赤ちゃんの健やかな成長を願う意味で盛大に祝う地域も残っているようです。
数え年の概念を取り入れると、赤ちゃんにとって「もう1つの誕生日」になりますので、1月1日はとてもおめでたい日であることは間違いありません。
飽食の時代となり、医学の進歩も著しい昨今ですが、無事に新たな節目を迎えたことを皆で喜び、破魔弓・破魔矢・羽子板を飾ってお祝いしたいですね!
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