陽春の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!

2022年6月16日はがき・手紙のマナー

陽春の候 時期 いつ 読み方 意味 例文 結び

陽春の候とは、手紙などに季節感を与えるために用いられる時候の挨拶の1つです。

暖かくなる春を連想させますが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう!

 

読み方や意味を理解しておくと、誤用を防ぐこともできます。

陽春の候の使い方として私的な季節の挨拶状やビジネスレターの例文もまとめています。

 

文書等で重視される「結びの挨拶」とセットで覚えておくと便利ですよ!

そこで今回は、陽春の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!というテーマでご紹介します。

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陽春の候を使う時期はいつ?

陽春の候 時期 いつ

陽春の候を使う時期は、4月1日~4月30日が目安となっています。

明確にいつからいつまでという決まりはなく、大体4月いっぱいに使われる時候の挨拶です。

 

「○○の候」などの漢語調の時候の挨拶は、旧暦(二十四節気)に基づくものが多いです。

ただし、陽春の候を使う時期は、現在の新暦(太陽暦=グレゴリオ暦)の春の気候に基づいて使われています。

 

以下に旧暦と新暦の春に関するグラフをまとめていますので、確認してみましょう!

季節 二十四節気 旧暦月 新暦初日
初春 1 立春 1月節 2月4日頃 
2 雨水 1月中 2月18日頃
仲春 3 啓蟄 2月節 3月6日頃
4 春分 2月中 3月21日頃
晩春 5 清明 3月節 4月5日頃
6 穀雨 3月中 4月20日頃 
初夏 7 立夏 4月節 5月5日頃
8 小満 4月中 5月21日頃

※二十四節気の順番は立春(1番目)を基準としています

まず二十四節気(旧暦)の春は「立春(1番目)」~「穀雨(6番目)」の期間です。

初春・仲春・晩春の3つの季節に分けられますが、春といえば2月4日頃~5月4日頃の約3ヶ月間になります。

季節(新暦)
初春 3月
仲春 4月
晩春 5月

一方、新暦(グレゴリオ暦)の春は、3月~5月の3ヶ月間と定義されています。

あえて旧暦の表現を使うと、陽春の候を使える時期は仲春の4月にあたり、ちょど春の中頃の約30間になります。

ひとくちメモ
新暦4月を二十四節気に置き換えると、仲春にあたる「啓蟄」と「春分」を合わせた期間になります。日付は3月6日頃~4月4日頃ですが、まだ寒さが残っている頃で、陽春の候を使う時期として相応しくありません。


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陽春の候の読み方は?

陽春の候 読み方

陽春の候の読み方は「ようしゅんのこう」です。

漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです。(※一部例外もあります)

 

陽春単体でも訓読みにすることはなく、「ようしゅん」として俳句の春(三春)の子季語になっています。

また、「候」は「そうろう」「さぶら(う)」「うかが(う)」「ま(つ)」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。

陽春の候の意味は?

陽春の候 意味

陽春の候は「本格的な春の暖かさを感じる季節になりましたが…」という意味です。

そもそも陽春とは「陽気に満ちた暖かい春」を表しており、現在の4月にピッタリの言葉です。

 

4月のイメージとしては・・・

  • 残寒(余寒)が無くなり、ポカポカ陽気に包まれる
  • 紫外線量が増え始める
  • 桜(主にソメイヨシノ)が満開になり、花見の季節
  • チューリップ、菜の花、タンポポ、ハナミズキなど、開花時期を迎える花が多い
  • ワラビをはじめとする山菜の収穫時期
  • ミツバチ、蝶などの虫たちが活発になる
  • 新年度に入り、入学式や入社式のシーズンを迎える
  • 4月8日の花祭り(灌仏会=お釈迦様の誕生日)
  • 4月13日の十三参り
  • 終盤からゴールデンウィークに入る

などが挙げられます。

麗らかな春の到来により、植物や虫などの自然だけでなく人も活気に満ちた季節になります。

 

陽春の候には、春の花が咲き乱れ、光に満ち溢れる様子を表す「春爛漫の好季節」というニュアンスも含まれています。

また、「候」は暑さ寒さの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃を意味します。

注意!
「陽春」には陰暦正月の異称という意味もありますが、新暦に置き換えると1月下旬から3月上旬頃を指しています。現在でも正月を迎えると「新春」「初春」などの「春」を使った言葉が使われていますが、その名残です。時候の挨拶の陽春の候とは無関係と考えてよいです。


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陽春の候の使い方の例文と結び!

陽春の候 例文 結び

では、陽春の候の使い方の例文をご紹介します。

私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶と併せて参考にしてくださいね。

 

漢語調の時候の挨拶の前提として、「春分の候」「春分の折(おり)「春分の砌(みぎり)」のどれを使ってもOKです。

口語調(和文調)の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向があります。

私的な季節の挨拶状の例文と結び

【書き出し】

  • 拝啓 陽春の候、○○様にはますますご健勝にてご活躍のことと存じます。
  • 拝呈 陽春の候、皆様ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
  • 謹啓 陽春の候、皆様にはいよいよご清栄のことと拝察し、お慶び申し上げます。
  • 謹呈 陽春の候、ご家族様にはいよいよご清適の趣大慶に存じます。
  • 恭敬 陽春の候、ご一同様におかれましては益々ご壮健の段大慶に存じます。

 

陽春の候だけで季節感は伝わりますので、続けて相手の健康を祝う言葉を入れます。

「~のことと」の代わりに「~の由」「~の段」「~の趣」「~のことと承り」「~の御事」なども使えます。

チェック!
相手の健康を祝う言葉として「お健やか」「お変わりなく」「お元気」「ご健勝」「ご活躍」「ご清祥」「ご清栄」「ご清適」「ご壮健」「ご勇健」などがあります。「ご勇健」は男性宛限定、「ご壮健」は主に目上の年配者宛に使用します。また、幸福を祝う意味の「ご清福」も便利です。

 

【結び】

  • 新年度に入り、お忙しい時期かと存じます。くれぐれもご健康にはご留意くださいませ。
  • 新天地でも○○様のご健勝とご活躍を心より祈念致します。
  • 花冷えの時節でもございます。どうかお風邪などめされませんようご注意ください。
  • 春爛漫の好季節、咲き誇る花にも負けない華やかなご活躍をお祈り申し上げます。
  • 桜花爛漫の折、皆様のご健康とご多幸を心からお祈り申し上げます。

 

結びの挨拶には相手の健康を気遣う言葉を入れるのがマナーですが…

新たな門出を迎える方にはエールを送るような文章にしたいですね!

 

また、冒頭の頭語と最後の締めくくりとなる結語の組み合わせは以下の通りです。

頭語 結語
一般的な例 拝啓・拝呈・啓上・啓白 敬具・拝具・敬白・かしこ(女性のみ)
改まった例 謹啓・謹呈・恭敬・粛啓 謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ(女性のみ)

(※同じ行であればどの組み合わせでもOKです)

最もポピュラーな組み合わせは「拝啓」+「敬具」だと思います。

さらにフォーマルな印象にしたい場合、「謹啓」+「敬具」などを使うとよいでしょう!

ビジネスレターの例文と結び

【書き出し】

  • 拝啓 陽春の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
  • 拝呈 陽春の候、貴社いよいよご盛栄のことと存じ、お慶び申し上げます。
  • 啓上 陽春の候、貴社にはますますごご盛業のことと拝察し、お慶び申し上げます。
  • 謹啓 陽春の候、貴社にはいよいよご隆盛の趣慶賀の至りに存じます。
  • 恭敬 陽春の候、貴社におかれましては益々ご隆昌の御事慶賀の至りに存じます。

 

ビジネスレターでは相手の会社の敬語「貴社」を使います。(お店なら貴店、銀行なら貴行)

「お慶び」「お喜び」の代わりに「大慶」「慶賀の至り」「慶祝の至り」などを使う手もありますよ!

チェック!
相手の会社の発展を祝う言葉として「ご発展」「ご繁栄」「ご盛栄」「ご盛業」「ご隆盛」「ご隆昌」「ご清栄」などがあります。「ご隆盛」「ご隆昌」は意味合い的にはビジネス向きですが、「ご清栄」は私的な挨拶状にも使えて便利です。

 

【結び】

  • 本年度もより一層のご厚誼を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。まずは、書中にてご挨拶申し上げます。敬具
  • 新年度も尚一層のお力添えを賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。まずは書中にてお礼とご報告を申し上げます。敬白
  • 今後とも倍旧のご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。略儀ながら、お礼かたがたご挨拶申し上げます。拝具
  • 麗春の折、貴社ますますのご隆盛を社員一同衷心より祈念致します。略儀失礼ながら、厚く御礼申し上げます。謹言
  • 春暖のみぎり、皆様のますますのご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。取り急ぎ、ご挨拶まで。謹白

 

結びには「相手の会社の発展」「今後の支援」を祈願する言葉を入れておきます。

「今年度」でも問題はありませんが、「本年度」「新年度」を使う方がベストだと思われます。

チェック!
相手の会社に支援を願う言葉として「ご厚誼」「ご支援」「ご高配」「ご指導」「ご鞭撻」「ご贔屓」「ご愛顧」「ご厚意」「お力添え」お引き立て」「お付き合い」「などがあります。それぞれ多少意味が異なりますが、ビジネスレターでよく使われる表現です。

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陽春の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!のまとめ

  • 陽春の候を使う時期は4月1日~4月30日が目安
  • 旧暦ではなく、新暦4月の暖かい春の期間に使う
  • 読み方は「ようしゅんのこう」
  • 意味は「本格的な春の暖かさを感じる季節になりましたが…」
  • 「春爛漫の好季節」というニュアンスを含む
  • 漢語調の時候の挨拶は主に改まった相手に使用する

 

陽春の候は暖かい春の陽気を感じる頃に使える時候の挨拶です。

新生活を送る方への激励の手紙などにもご活用くださいね!