秋分の日の意味と由来!祝日になった経緯や日付の決め方、行事食は?
毎年、9月22日~23日頃に巡ってくることの多い国民の祝日「秋分の日」。
天文学、二十四節気、秋のお彼岸に関わる、様々な意味を持つ日でもあります。
祝日になった経緯や由来、日付の決め方などもあまり知られていないようです。
秋分の日の行事食を含め、理解を深めておきたい1日ですよね。
「二至二分」の1つで、季節を分けるという点でも重要な意味を持つ日です。
そこで今回は、秋分の日の意味と由来!祝日になった経緯や日付の決め方、行事食は?というテーマで詳しくご紹介します!
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秋分の日の意味!
秋分の日とは、「国民の祝日に関する法律(祝日法)」で定められた日本の祝日の1つです。
元日を1番目とする1年の祝日(全16日)の中で、13番目に巡ってきます。
天文学的な意味では…
- 太陽が真東から昇り真西に沈む日
- 昼と夜の長さが同じ日
- 毎年同じ日とは限らず、日付が変動する日
- 春分の日と対をなす日
として知られていますね。
秋分の日は「二至二分(にしにぶん)=夏至・冬至・春分・秋分」のうち・・・
二十四節気の1つ・秋分(太陽黄経180度)の瞬間を含む日として、季節を分ける重要な意味を持つ1日です。
秋のお彼岸の中日(ちゅうにち・なかび)であることからも、先祖供養とも深い関わりがあります。
もっとわかりやすいように、1つずつ解説しますね!
秋分の日の祝日の趣旨は?
日本の祝日にはそれぞれ「どういう意味を持つ日なのか」という趣旨が設定されています。
内閣府のHPを見るとわかりますが、秋分の日の趣旨は・・・
祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。
とされています。
秋のお彼岸中に迎える祝日だけに、先祖供養のための1日であるといえそうです。
秋分の日と対を成す「春分の日」の趣旨は以下の通りです。
自然をたたえ、生物をいつくしむ。
こちらも春のお彼岸との関わりが深い1日ですが、どちらかというと「暖かい春の訪れ」を強調した祝日となっています。
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そもそも秋分とは二十四節気の1つ!
秋分の日とは、二十四節気の1つ「秋分」を迎える日のことです。(=秋分日)
秋分とは、天文学的には太陽が秋分点(太陽黄経180度)を通過する瞬間を表しています。
春分点が太陽黄経0度に当たりますので、地球の公転周期において太陽を中心に真逆の位置にあることを意味します。
また、二十四節気とは、旧暦時代に季節の移り変わりを知るために1年を24等分に分けたものです。
当然ながら、1日だけのことではなく「期間(それぞれ約15日間)」としての意味を持っています。
秋分前後の節気の順番は、以下の通りです。
- 白露(9月8日頃~9月22日頃)
- 秋分(9月23日頃~10月7日頃)
- 甘露(10月8日頃~11月6日頃)
※日付は太陽の動きにより変動するため、あくまで目安です
二十四節気の1番目は「立春(2月4日頃)」で、太陽黄経が15度動く度に次の節気へ移っていきます。
秋分の日は太陽黄経180度を迎えますので、立春から数えて16番目となります。
秋分の日は秋のお彼岸の中日!
前述した通り、秋分の日は「秋のお彼岸の中日」として知られています。
中日というのは、ちょうど真ん中に当たる日という意味です。
※仮に9月23日を秋分の日とした場合、秋のお彼岸は以下の日程となります。
日付 | 秋のお彼岸 |
9月20日 | ○初日(彼岸入り) |
9月21日 | ○ |
9月22日 | ○ |
9月23日 | ★中日(秋分の日) |
9月24日 | ○ |
9月25日 | ○ |
9月26日 | ○最終日(彼岸明け) |
その年により秋分の日の日付が変動するため、それに合わせて秋のお彼岸の日程も変動します。
この期間が先祖供養や仏教の修行に最適とされるのには、以下の理由があります。
- 仏教の西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)という考え方
- 秋分の日に太陽が真東から昇り真西に沈むこと
- 秋分の日の昼と夜の長さが同じであること
宗派によっても異なりますが、「西方極楽浄土」とは阿弥陀如来がいらっしゃる極楽浄土という理想の世界は「十億万仏土を過ぎた遥か西方にある」という考え方です。
秋分の日に真西に沈む夕日は、この「極楽浄土への道しるべ」ともいわれ、三途の川を挟む此岸と彼岸が最も通じやすくなる日といわれています。
- 此岸(しがん)=私たちが生きているこちら側の世界(煩悩に満ちた世界)
- 彼岸(ひがん)=ご先祖様がいらっしゃるあちら側の世界(悟りの世界)
- 三途の川=彼岸と此岸にある境界を意味する川
特にお彼岸(春を含む)の時期は、ご先祖様とも通じやすくなりますので、その供養にも向いているのです。
また、仏教には「苦楽・有無・生滅といった対立するものに一切偏らず、すべてのものは空(くう)である」という「中道」という基本的な考え方があります。
昼と夜の長さが同じである秋分の日は、すべてにおいて調和のとれた「中道を象徴する日」として仏教に励む最適な日ともされているのです。
まさにお彼岸の中日とするに相応しい1日であることがわかります。
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秋分の日の由来!祝日になった経緯とは?
秋分の日は、歴代天皇や皇后のほか、その他の皇族の霊を祀る儀式「秋季皇霊祭」に由来する祝日です。
つまり、もともとは一般庶民向けというより、天皇家にまつわる祝祭日の1つとされていました。
1878年(明治11年)に始まった秋季皇霊祭は、戦後の1947年(昭和22年)5月2日に廃止されています。
その背景には第二次世界大戦での日本の敗戦が大きく関与しているようです。
しかし、1948年に公布・施行された「国民の祝日に関する法律(祝日法)」により、「秋分の日」としてそのまま祝日として残った経緯があります。
一方、春分の日は「春季皇霊祭」に由来する祝日で、春秋の皇霊祭は現在でも宮中祭祀として行われている行事(大祭)です。
ちなみに、春分・秋分の日が誕生する前からお彼岸は存在しており、古くからご先祖様を祀る習慣があったとされています。
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秋分の日の決め方とは?
天体の動きに左右される祝日「秋分の日」の日付の決め方も気になるところですね!
正式決定までの流れは以下の通りです。
- 国立天文台(NAOJ)が翌年の暦をまとめた「歴要項」を作成
- 歴要項が国の機関紙「官報」に掲載され、正式決定となる
歴要項には天文計算により算出された翌年の国民の祝日、朔弦望(新月・満月)、日食、月食、二十四節気、雑節、入梅、土用などの日程が記載されています。
官報に掲載されるのは、前年2月1日(平日の場合)になります。
つまり、秋分の日からさかのぼること1年7か月以上前には正式決定しますね。
国立天文台(NAOJ)のHPには未来における天体や暦に関するデータが記載されていますが、あくまで予測に過ぎません。
秋分の日の日付も前年になってようやく正式決定という流れになっています。
もちろん、ハッピーマンデー制度による祝日の日程は遠い未来でもわかりますが、日付が変動する祝日の場合は別物と考えておきましょう!
秋分の日の行事食といえば?
秋分の日の行事食といえば、やはり「おはぎ」のイメージが強いですね。
一般的には秋のお彼岸に食べるものとして有名で、萩の花が散り地面に落ちた様子を見立てて作ったともいわれています。
江戸時代初期に生まれたおはぎは、蒸した「もち米」を小豆で作った「粒あん」で包んだ和菓子。
日本では、古くから小豆をはじめとする赤い色には邪気を祓う力があるとされており、「魔除け」の意味で重宝されていました。
当時は小豆や砂糖が高級品だったこともあり、ご先祖様への最上級のお供え物だったようです。
秋のお彼岸の中でも秋分の日は祝日ということもあり、各家庭でおはぎを作ってお供えし、お下がりをいただくのもよいですね。
春のお彼岸の行事食となっている牡丹餅との違いには諸説ありますが、秋の小豆は皮まで柔らかく、粒あんがメイン。
一方の牡丹餅は冬を越した固い小豆を使用することもあり、こし餡を主流としているようです。
実家から遠く離れた地で暮らしている方は、お彼岸の時期に墓参りに出かけるのも困難ですし、秋分の日におはぎを食べながらご先祖様に思いを馳せるのもよいでしょう!
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秋分の日はお墓参りの日!
秋のお彼岸の中日である秋分の日は、「お墓参りの日」として制定されているのをご存じでしょうか?
日本石材産業協会が日本記念日協会に申請したことで、2013年正式に制定されています。
日本石材産業協会とは、主に霊園などの墓石を扱う石材店および石材関連業者で構成された組織(協会)。
全国からの加盟数は約1200件ほどもともいわれ、秋分の日にお墓参りをして先祖供養をするための普及活動を行っています。
祝日法の趣旨でもご紹介した通り、秋分の日は「祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ日」。
「お墓参りの日」が制定されたことにより、今まで以上に先祖供養を重んじる人が増え、祖先を敬う尊い風習が絶えない世の中にしたいですね。
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秋分の日の意味と由来!祝日になった経緯や日付の決め方、行事食は?のまとめ
秋分の日の意味と由来を中心にご紹介しました。
世界的に見ても、天文学的見地から日付が変動する祝日は珍しいといわれています。
日本では1878年に始まった秋季皇霊祭からお休みとなっていますが、現在も祖先を大切にして祀る風習は根付いています。
秋のお彼岸の中日でもありますので、秋分の日は家族みんなでお墓参りをして、ご先祖様に「今を生きていることへの感謝」をお伝えしたいですね。
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