菖蒲・あやめ・かきつばたの違い!見分け方やアイリスの意味は?
5月5日の端午の節句が近くなると、「菖蒲(しょうぶ)」が注目されますよね。
ただ、「あやめ」や「かきつばた」との違いがよくわからないという人も多いと思います。
確かに紛らわしいのは事実ですが、実際には「菖蒲」も「あやめ」も「かきつばた」も似て非なる物。
ちゃんとした見分け方のポイントがあります。
また、花菖蒲やアイリスとの違いも検索されていますが、その意味も詳しくご紹介しますね!
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菖蒲・あやめ・かきつばたの違い
「菖蒲」という漢字には「しょうぶ」「あやめ」という2種類の呼び方がありますよね。
もちろん同じ植物を呼び分けている訳ではなく、歴(れっき)とした違いがあります。
さらに「かきつばた(杜若)」の特徴も似ているため、それぞれ区別するのが困難ですね。
ただし、植物学的分類・花の特徴・葉の特徴・開花時期・自生場所を見ていくと、それぞれ別物だということがよくわかると思います。
見分け方のポイントにもなるため、この機会に「菖蒲」「あやめ」「かきつばた」の違いを理解しておきましょう!
植物学的分類
- 菖蒲(しょうぶ):ショウブ目ショウブ科ショウブ属(サトイモ目サイトモ科ショウブ属):学名(Acorus calamus var. angustatus)
- あやめ:キジカクシ目アヤメ科アヤメ属:学名(Iris sanguinea)
- かきつばた:キジカクシ目アヤメ科アヤメ属:学名(Iris laevigata)
「菖蒲(しょうぶ)」は「ショウブ目ショウブ科」に属します。
ただし、植物学的には「サイトイモ目サイトイモ科」に分類されるケースもあり、端午の節句の「菖蒲湯」に使われる草本として有名ですね。
また、「あやめ」と「かきつばた」は完全に同属で「キジカクシ目アヤメ科アヤメ属」に分類されています。
そもそもショウブ目とキジカクシ目にも違いがありますので、3種類の中で「菖蒲」だけは全く別物の植物になります。
アヤメ科に属する植物は約2000種あるといわれ、「あやめ」「花菖蒲」「かきつばた」「サフラン」なども含まれます。
その他「チリメンアヤメ属」「クロッカス属」「フリージア属」「グラジオラス属」など、観賞用の花が世界中で栽培されています。
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花の特徴
まず「菖蒲(しょうぶ)」の花はほとんど目立つこともなく、花茎の先に黄緑色の棒のような細花を咲かせます。
ガマの穂のような見た目で、アヤメ科アヤメ属の「花菖蒲」とは華やかさが全く異なりますね。
「花菖蒲」は単に「菖蒲(しょうぶ)」と呼ばれることもあり、「あやめ」や「かきつばた」にもとてもよく似ています。
ただし、どんな色の花菖蒲でも、花(外花被片)の付け根に黄色い模様(斑紋)が入ってっているのが特徴です。
「あやめ」は、花(外花被片)の付け根に白や赤、茶、黒などで構成される網目状の模様があります。
花の色により網目模様を構成する色に違いがありますが、本来の「菖蒲」は花を見ることもほとんどありませんので、見分けるポイントとしては十分です。
一方「かきつばた」は、花(外花被片)の付け根に縦長の白い模様(斑紋)が入っています。
花びら全体に広がる脈(筋)のような模様も少なめで、菖蒲やあやめとの違いはハッキリしています。
葉の特徴
「菖蒲」の葉は、細長くて刀のような形をしているのが特徴で、最大1メートルまで成長します。
葉先より根茎の方に血液循環を促す作用があり、様々な効能を持つ生薬としても利用されています。
爽やかな芳香を放つことから「匂い菖蒲」と呼ばれ、「邪気払い」の意味も込めて端午の節句の菖蒲湯にも利用されていますね。
ちなみに「花菖蒲」の葉も非常によく似ており、主脈が太くて見えやすいです。
「あやめ」の葉も似ているのは確かですが、40~60cmほどしか伸びず、葉の主脈が「菖蒲」より不明瞭で目立ちません。
「かきつばた」の葉は最も幅が広いのが特徴ですが、こちらは葉の主脈が極細で見えづらいという違いもあります。
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開花時期
【開花時期の違い】
- 菖蒲(しょうぶ):5 ~7月(初夏)
- あやめ:5月上旬~中旬
- かきつばた:5月中旬~下旬
※花菖蒲:6月上旬~7月上旬
花を観賞するのであれば、「あやめ」→ 「かきつばた」→「花菖蒲」の順番で楽しめます。
菖蒲(しょうぶ)の開花時期は長めですが、花を見ることはほとんどありませんよね。
花菖蒲は紫陽花(あじさい)とのコラボも綺麗ですね!
自生場所
【主な自生場所】
- 菖蒲(しょうぶ):川や池、沼などの水辺(湿地)
- あやめ:山や草原などの陸地(湿地に咲くことはほぼない)
- かきつばた:湿地や水中にも咲く
※花菖蒲:水を好み、菖蒲(しょうぶ)と同じく湿地に群生する
自生場所としては、「あやめ」のみが乾燥した土地を好みます。
水辺などの湿地で見られるようであれば、かきつばたや花菖蒲の可能性が高いですね!
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菖蒲・あやめ・かきつばたの見分け方のポイント!
菖蒲、あやめ・かきつばたの違いをご紹介しましたが、それぞれ見分け方のポイントを整理しますね。
花菖蒲も併せて草丈や花色などにも注目してくださいね!
草丈 | 花色 | 花の特徴 | 葉の特徴 | |
菖蒲 | 50~100cm | 黄緑色 | 棒状の花 | 刀状・芳香あり |
あやめ | 40~60cm | 白、紫 | 網目模様あり | 葉脈が不明瞭 |
かきつばた | 50~80cm | 白、青、紫、複色 | 白の模様あり | 葉幅が広い |
花菖蒲 | 50~100cm | 白、青、紫、褐色、黄色 ピンク、ほか多数 |
黄色の模様あり ※花の種類が豊富 |
刀状・芳香なし |
もともと「菖蒲(しょうぶ)」といえば、菖蒲湯に利用する「葉菖蒲」「匂い菖蒲」を指しています。
ただし、現在では美しい花を咲かせる「花菖蒲」を指していても間違いではありません。
花菖蒲に関しては、大きく分けて「江戸系」「伊勢系」「肥後系」の3タイプがあります。
その他、長井古種やアメリカを中心に開発された品種も豊富です。
また、アヤメ科に属する「あやめ」「かきつばた」「花菖蒲」の場合も、総じて「あやめ」と呼ぶ習慣が広まっています。
かなり紛らわしくはなっていますが、見分け方のポイントを押さえておけば、目の前にある花がどれに当たるかはわかるはずです。
アイリスの意味とは?
ネット上ではよく、「あやめ・かきつばた・アイリスの違い」などと検索されていますね。
アイリスとは、キジカクシ目アヤメ科アヤメ属の学名を意味します。
英語表記では「Iris」とされ、同属の花の学名には必ず「Iris」または「 I.」の文字が含まれています。
例えば・・・
「あやめ」は「Iris sanguinea」「I. sanguinea Hornem.」。
「かきつばた」は「Iris laevigata」「I.laevigata Fisch.」などとされています。
もともとアイリスとは、ギリシア神話に登場する「虹の女神・イリス」のことを指しており、アヤメ属の学名の由来となっています。
イリスは最高神ゼウスの妻・ヘラの寵愛を受けていましたが、ある日ゼウスのお気に入りとなり困惑してしまいます。
相談を受けたヘラは、イリスに「七色の首飾り」を与え、髪の毛にお酒を3滴垂らして虹の女神に変身させました。
現在ではドイツの「ジャーマンアイリス」、オランダの「ダッチアイリス」など、アヤメ属の花名としても知られていますね。
つまり、海外で開発されたアヤメ属の花には、ほとんど「アイリス」という名前が入っています。
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菖蒲・あやめ・かきつばたの違い!見分け方やアイリスの意味は?のまとめ
菖蒲・あやめ・かきつばたの違いについてご紹介しました。
花菖蒲も含め、似ている花ばかりですが、花弁や葉の特徴は見分け方のポイントになります。
開花時期や自生場所にも目を向けると、さらに区別しやすいと思います。
また、アイリスの意味は「キジカクシ目アヤメ科アヤメ属」の学名でしたね。
イングリッシュアイリス、スパニッシュアイリスなどもすべて、あやめやかきつばたの仲間に分類される植物です。
日本ではゴールデンウィーク辺りから見ごろを迎えるアヤメ属の花を楽しんでくださいね。
花菖蒲は特に開花時期が長いため、梅雨時にも水辺で綺麗に咲いているのを見れそうです。
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