桜餅の葉っぱは食べる食べない?種類は何?葉の成分と包む意味は?
淡いピンク色と桜の葉の香りが食欲をそそる春の風物詩「桜餅」。
ひな祭りの頃からお花見シーズンにいただく機会が増えますが、毎年論争となっているのが「葉っぱを食べるか食べないか?」です。
家族内でも意見が分かれたりしますが、正解はどちらなのか気になりますよね。
食べる人と食べない人の割合を知ると、自分が少数派でビックリすることもありますね!
そもそも・・・
- 桜餅の葉っぱの種類は何なのか?
- 成分に毒性はないのか?
- 食べる派食べない派の意見
- 包んである意味とは?
- 桜餅の食べ方にマナーはあるのか?
- 和菓子屋さんの見解
などを知っておくと判断の基準になるかもしれません。
そこで今回は、桜餅の葉っぱは食べる食べない?種類は何?葉の成分と包む意味は?というテーマで詳しくご紹介します!
Sponsored Link
桜餅の葉っぱは食べる?食べない?
早速、桜餅の葉っぱを食べるか食べないかですが、結論からいうと個人の自由です!
和菓子の食べ方に「こうしなければならない」というマナーはありません。
せっかく包んであるので「そのまま食べるのが当たり前」と思う人もいますよね。
いやいや、単なる飾りだから「剥がして食べないのが普通でしょう!?」という人もいますね。
桜餅といっても、関東風の「長命寺」はクレープ風の薄い生地で餡を巻くように作ってありますよね。
一方、関西風の「道明寺」はモチモチ感の出る道明寺粉を使っていますので、それぞれ手に取った感じや食感にも随分違いがあります。
お茶会などの作法では、和菓子は「黒文字」という菓子楊枝を使い、一口分ずつ割って(切って)食べるのが一般的です。
ただし、桜餅や柏餅、草餅など食べづらい場合は手に取って食べてもOKとされています。
その点では、長命寺でも道明寺でも条件は同じということになります。
手に取った際、葉っぱを剥がしても剥がさなくても問題はありませんので、食べる食べないは自分次第ということになります。
特に関東風の長命寺は桜の葉を3枚使うことも多いため、「黒文字」で一口大に切って食べるのは難しいですよね。
葉っぱの葉脈に沿って切るようにすれば切れやすいのですが、流石に3枚もあると簡単には行きません。
食べない場合は、手で剥がしてから菓子皿の右側に置くようにするのが主流ですし、所作も美しい印象を受けますね。
いずれにしても、葉っぱありの方が美味しいと感じる人は食べますが、苦手という人は絶対に食べませんので好みの問題になるでしょう!
桜餅の関東と関西の違い!長命寺と道明寺の名前の由来と全国的分布!
桜餅の葉っぱを食べる割合は?
コンビニなどで販売されているトレンドを紹介する雑誌を見たところ、桜餅の葉っぱを食べる割合は60%でした。
「そんなに多い?」と思ってグルメ系WEBサイトで調べてみても、結果はほぼ同じでした。
個人的には「絶対食べない派」ですので、少しビックリでした。
ただし、これにはちゃんとした理由があるようです。
全国では関西風の桜餅(道明寺)の普及率が65%もあり、関東風の長命寺に比べると2倍近くになります。
モチモチ食感の道明寺の方が葉っぱとの相性が良く、葉の枚数も多めの長命寺の方が相性が悪いといわれています。
したがって、食べない派の方が少数ということになるようです。
桜餅の葉っぱを食べる割合は関東風と関西風の普及率にも影響を受けているようですね!
Sponsored Link
食べる人と食べない人の意見は?
では実際に、桜餅の葉っぱを食べる人と食べない人の意見を見てみましょう!
TwitterなどのSNSや質問サイトなどでも論争は続いているみたいです。
自分とは逆のタイプの人の見解を見てみるのも面白いですよ。
【食べる人の意見】
- そもそも食べるために包んである
- 塩漬けにしてあるのは食べるため
- 香りを楽しむには最適
- 塩気もいいアクセントになっている
- モチモチ食感との相性も良い
- 香り付けや包装目的の柏餅の葉っぱとは違う
- 葉っぱを剥がす理由がわからない
- いちいち剥がすのが面倒くさい
【食べない人の意見】
- 葉っぱは単なる飾りで食べない方がいい
- 食べるまでに香りや塩味はついているのでお役御免
- とにかく食感が気持ち悪い
- 苦味を感じることがある
- 塩気が強過ぎてしょっぱいのが嫌
- 毒性がありそうで怖い
- 葉っぱの部分を持って食べて最後に捨てる
- 一緒に食べる人の気が知れない
まあ、言いたい放題という面もありますね。
「葉っぱの毒性」が少し気になりましたので、調べた結果を後述しています。
食べる食べないに地域差はある?
次に、桜餅の葉っぱを食べる食べないに地域差があるのか調べてみました。
結果としては、関西風の桜餅(道明寺)が普及している地域の方が、若干食べることが多いようです。
当然、関西風の長命寺が普及している地域の方が、僅かながら食べることが少なくなります。
ただし、関東地方以外ではどちらも普及していることが多いため、思うほど地域差による影響はないと考えられます。
どちらかというと、子どもは苦手なので食べない、大人は風味を味わいたいのでそのまま食べる傾向が強いようです。
葉っぱの風味も併せて楽しみたいというのは、大人になった証拠なのかもしれませんね。
桜餅発祥のお店の見解は?
東京都墨田区向島にある桜餅発祥のお店「長命寺桜もち・山本や」の見解も気になりますよね。
お店の公式HPを見ると、「葉っぱを外してから食べるように」と推奨されています。
お餅には塩漬けされた桜葉の香りがすでに移っているため、剥がして食べる方が良いのだとか…。
葉っぱを食べない派の私からすると「ですよね~!」といいたくなりました。(笑)
創業者の山本新六さんは1717年、長命寺門前の隅田堤(墨堤通り)で桜餅作りと販売を始めました。
現在、「長命寺桜もち・山本や」は300年以上伝統の味を守り続けている「桜もち専門店」です。
元祖というか、本家というか、とにかく発祥のお店の見解には説得力がありますね!
桜餅のみを食べるだけで十分風味も楽しめるということですから、葉っぱは剥がして食べなくてもよいということですね。
ただし、あくまで正解というものはなく推奨ということで、「お好みで召し上がるのが何より」との記載もありました。(汗)
全国和菓子協会の見解は?
東京都千代田区代々木3丁目を所在地とする「全国和菓子協会」の見解も当然気になってきましたね!
1950年、黒川武雄氏を創設者とし、和菓子を後世に伝え残すことを目的として設立された業界団体です。
桜餅の葉っぱを食べるか食べないかのお話を聞いたところ・・・
お餅本来の味と風味を活かしていただくためには、「葉っぱを剥がして食べないこと」を推奨されているそうです。
やはり、桜餅発祥の「長命寺桜もち・山本や」と見解は同じですね。
全国和菓子協会の会員には、「大阪府生菓子協同組合」「京都和菓子協会」などの団体の他、「長命寺桜もち・山本や」「文明堂」「風月堂」など40以上の有名和菓子店や企業もあります。
発祥のお店も会員に入っていますし、見解の信ぴょう性は高いと思われます。
ただし、あくまでも推奨であり、「一緒に食べた方が美味しい」という有名和菓子店もたくさんあります。
結局、桜餅の食べ方に正解というものが無い以上、葉っぱを食べる食べないは好みの問題になりますね。
状況に応じて判断するのがベスト!
ご家庭で桜餅をいただく時はまだしも、お茶会などの席では美しい所作を意識することも多いですよね。
和菓子1つ食べるにしても立ち居振る舞いが気になる状況では、上品に食べた方が見た目も良くて得だと思います。
「黒文字」「和菓子皿」などが用意されている場合、葉っぱは剥がして食べない方が綺麗に見えるかもしれません。
黒文字で綺麗に一口大に切れれば良いのですが、葉っぱの繊維が邪魔して難しい場合もありますからね。
逆に、桜餅を丸ごと一個持って食べるというのも「はしたない」という印象を受けがちですので、お皿の上に載せたままそっと葉っぱを剥がすのが良さそうですね。
もちろん、ご家庭ではお好きなように食べるのが一番ですし、家族に食べ方を見られて恥ずかしいこともありませんよね。
いずれにしても、その時の状況によって葉っぱを食べるか食べないかを判断するのがベストでしょう。
Sponsored Link
桜餅の葉っぱの種類は何?
桜餅に使用されている「葉っぱの種類は何?」と気になっている人も多いと思います。
正解は、ほとんどが「オオシマザクラ(大島桜)」という白い花を咲かせる日本固有の品種で、主に関東以南に分布しています。
もともと伊豆大島を中心とする伊豆諸島に起源を持つといわれており、オオシマザクラの名前の由来にもなっています。
日本のお花見シーズンで有名なソメイヨシノ(染井吉野)も、オオシマザクラとエドヒガシ(江戸東)を交配させて誕生したものです。
葉っぱの塩漬けが桜餅に利用されている理由として、主に下記のような特徴があります。
【オオシマザクラの葉の特徴】
- 葉の面積自体が大きい
- 他の品種より薄くて柔らかい
- 葉毛(産毛のようなもの)が気にならない
- 塩漬けにすると甘酸っぱくて芳醇な香りが立つ
- 生育が早く毎年多くの若葉をつける
ちなみに、桜餅発祥の「長命寺桜もち・山本や」さんでは、伊豆半島南西部に位置する静岡県賀茂郡松崎町のオオシマザクラの葉を使っているそうです。
他の桜でも香りが立つものは塩漬けにして利用されますが、ほとんどがオオシマザクラという種類になります。
葉っぱの成分や毒性は?
オオシマザクラの成分として気になるのが、主に桜の葉やシナモンなどに含まれるラクトンの一種である「クマリン」です。
花や葉に含まれていますが、バニラのような香りを持ち、そのまま食べても刺激的な苦味が強いといわれています。
そこで、塩漬けにして分解を促進すると一層強い芳香を放ち、桜餅の葉っぱのように食用にすることができます。
クマリンには肝毒性があるといわれていますので、過剰摂取や長期摂取は肝機能に悪影響を与えます。
もちろん微量に含まれる程度ですので、桜餅を葉っぱを少々食べた程度で体調不良を起こすことはありません。
常識的に考えても、桜の葉っぱの塩漬けを毎日のように食べる人はいませんしね…。
シソ(紫蘇)の葉と思っている人も!
インターネット検索で「桜餅の葉は何の葉っぱ」と検索してみると、「シソ(紫蘇)」だと思っている人が多いことがわかりました。
いわれてみれば、確かに似ているような気もしますね。
実は、桜餅の葉っぱ用に塩漬けにする際、色味を付けるためシソの絞り汁を加える場合もあるそうです。
ただ、オオシマザクラの葉とは全く異なるものですので、間違えないようにしてくださいね。
赤シソは生だともっと赤や紫色が強いですし、梅干し用に塩漬けにすると原型が崩れて「しんなり」しますよね。
青シソ(大葉)は原型をとどめたまま生で食べることも多いですが、少し黄緑がかった色をしています。
桜餅の葉っぱの代用として使うこともあるかもしれませんが、個人的には見たことはありません。(笑)
Sponsored Link
桜餅を葉っぱで包む意味は?
桜餅の葉っぱについては単なる飾りだと思っている人も多いようです。
淡いピンクに緑が映えて、とても綺麗で食欲をそそりますよね。
しかし、何のために包んであるのかという意味を知ると、また見方も変わって来ますよ!
3つほどありますので、下記にご紹介しますね。
桜の香り付けのため
まず1つ目は、桜の香り付けのためです。
前述した通り、オオシマザクラの葉に含まれるクマリンという成分は、塩漬けにするとより一層香りが立ちます。
桜餅を葉っぱで包むことにより、桜の芳香をお餅に移すという意味があります。
ピンク色の色粉(食用色素)を含ませた道明寺粉なども市販されていますが、色は変えてもお餅に風味はありません。
食べる食べないは別問題として、桜餅を美味しくいただくためには塩漬けされた桜の葉っぱは欠かせませんね!
小麦粉ベースで作る関東風の長命寺も、餡を包むクレープ状の皮は白い場合もありますしね。
水分蒸発による乾燥を防ぐため
2つ目は、桜餅の水分蒸発による乾燥を防ぐためです。
水分が抜けてしまうとお餅自体が硬くなるため、葉っぱで包むことは乾燥防止の意味があります。
通常、市販のお餅やお団子の類には、保湿剤としてトレハロースや砂糖が使用してあり、簡単には硬くなりません。
特に関西風の道明寺の場合、水分が抜けて乾燥すると桜餅自体が硬くなってしまいます。
関東風の長命寺の場合でもパサパサとした食感になったり、白玉粉などを加えた場合もモチモチ感が失われてしまいます。
桜餅の露出面積を狭くする意味でも、塩漬けした葉っぱを3枚以上使って包んであるお店もありますよね。
塩味(しおみ)を利かせるため
3つ目は、桜餅に塩味(しおみ)を利かせてより美味しくいただくためです。
他の和菓子なども同様のことがいえますが、甘い小豆餡に少量の塩を加えると甘さも引き立ち味も整いやすいですね。
甘い物に塩味を加えることで「単に甘いだけにしない」という意味もあります。
桜餅の場合、塩漬けの葉っぱを利用していますので、葉も一緒に食べると塩が利いて美味しいという人も多いですね。
善哉やお汁粉などにも塩を少し加えると美味しくなりますし、スイカに塩をかけて食べるのにも少し似ている気もしますね!
Sponsored Link
桜餅の葉っぱは食べる食べない?種類は何?葉の成分と包む意味は?のまとめ
香り付けや乾燥防止などに利用されている桜餅の葉っぱですが、食べる食べないはあくまで個人の自由です。
お店によっても推奨されている食べ方が変わりますので、それに従うのも良いかもしれませんね。
基本的に、関東風の長命寺、関西風の道明寺のどちらにも同様のことがいえそうです。
お茶会などの上品な席では人の目も気になりますので、状況に応じて決めるという手もありますね。
尚、桜餅の消費期限は2~3日程度と短いため、なるべく硬くならないうちに食べるのがオススメですよ。
オオシマザクラの葉の風味を感じながら、ぜひ美味しくお召し上がりくださいね。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません