門松の意味と由来!松竹梅と竹の切り方(寸胴・そぎ)や長さが七五三なのは?

お正月になると玄関や門の脇に飾られることの多い門松。
風物詩として当たり前のような存在ですが、意味や由来をご存知ですか?
門松には松竹梅が飾られていますが、これにもちゃんとした理由があります。
また、竹の切り方には寸胴とそぎの2種類あり、それぞれで意味が異なります。
3本の長さは七五三となっており、揃っていないことにも注目して調べてみました。
そこで今回は、門松の意味と由来!松竹梅と竹の切り方(寸胴・そぎ)や長さが七五三なのは?というテーマで詳しくご紹介します!
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門松の意味と由来
まずは門松の意味や由来について見ていきましょう。
理解して飾るのと、全く知らないのとでは全然違ってきます。
新年を迎えるにあたって大切な縁起物ですので、子供に聞かれても教えてあげられるくらい意味や由来を理解しておくといいですね。
門松の意味は?
昔からお正月に飾られていた門松、意味としては大きく4つが挙げられます。
新しい年を迎えるにあたって、以下の内容をしっかりと把握しておきましょう。
【門松を飾る意味】
- 年神様が家に降りてくる時のための目印
- 年神様が降りてきた後に宿るための依り代
- 1年の幸福を祈願するためのもの
- 家族の長寿を願うためのもの
門松の飾る意味を4つご紹介しましたが、ご存知のものはあったでしょうか?
年神様が家に降りてくる時の目印というのは、よく知られているかと思います。
宿るための依り代は、鏡餅にも同じような意味が込められています。
お正月の縁起物ですので、室内外どちらにも年神様をお迎えできるのはうれしいですね。
1年の幸福を祈願するために門松を飾ることは、昔は「五穀豊穣」を意味するものでした。
現在でも農家では、豊作を祈って設置する方も多いでしょう。
家族の長寿を祈願するのは、実は由来と深く関係があります。
以下でご紹介していますので、門松の起源と合わせてご確認ください!
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門松の由来は?
お正月に門松を飾る飾るようになった由来は、平安時代にまでさかのぼります。
古くから樹木には神様が宿ると考えられており、中でも松はおめでたいものを意味する象徴とされてきました。
門松は宮廷儀礼であった「小松引き」が由来と考えられています。
その年の最初の子の日である「初子」に外出し、小さな松の木を引き抜く行事でした。
子供が根ごと引っこ抜いたものを、玄関に飾ったのが始まりだと言われています。
この行事をすることで、長寿祈願をしたそうです。
門松の由来とされる「小松引き」が始まった平安時代には、松だけを飾っていました。
しかし室町時代になってからは、長寿を意味する竹も合わせるようになりました。
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門松に松竹梅を飾る意味
お祝い事のシンボルといえば、松竹梅の3点セットを思い浮かべる方も多いですよね。
門松にも使われていますが、それぞれの意味をちゃんと知っていますか?
現在の日本では慶事や吉祥に欠かせない存在ですが、もともとは中国の「歳寒三友」として伝わったものです。
宋の時代から始まった文人画で好まれる題材の1つで松竹梅を指し、3つ合わせて描かれることが多いと言われています。
松
門松はもともと名前の通り松のみでした。
平安時代から始まった「小松引き」からもわかるように、長寿を祈る意味があります。
年をとると子供を作るのが難しくなっていきますよね。
昔の権力者は地位を得てからも子孫を残そうと必死になり、復活を願って長寿の樹木にあやかろうとしました。
そこで最初にたどりついたのが松でした。
このことから「松竹梅」の1番目になったと言われています。
松は害虫対策のために新芽を短く切られることがあり、その時2枚の針葉の間から新しく芽を出します。
そのため昔は「又」と呼ばれており、間から出てくる新芽を子供に見立てました。
また、松の木を神社に植えて、神々の永遠を願う意味もありました。
神聖な樹木である「又の木」から「祭りの木」となり、現在の「マツの木」と変化したそうです。
公木に見立てて、木偏に公と書いて「松」になったという説もあります。
どちらにしても神聖な樹木で、子供を授かるために長寿を祈願する、お正月にはぴったりの植物と言えますね。
竹
竹は植物の中でも成長が早いことから、鎌倉時代にはすでに祈りの対象とされてきました。
1日に2mも伸び、これをうらやましがった老人たちが「復活」の意味を込めて願ったそうです。
祈る際にはできるだけ大きな筍を選び、御神体にお納めしていました。
こうして縁起物として、「松竹梅」の2番目に位置付けられることとなります。
また、松と同様に寒くても色が変わらないことからも、長寿を意味するものとされていました。
室町時代からは門松として、一緒に飾られるようになったわけです。
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梅
中国の歳寒三友では「松竹梅」の3番目に位置していた梅ですが、日本で取り入れられたのは江戸時代になってからのことです。
奇数がおめでたいとされるようになり、お祝い事には欠かせないものになりました。
梅には自然に備わった気品と風流があるという意味で、好まれて選ばれるようになったようです。
寒い中でも紅白の花を咲かせますので、時期は少し早いですがお正月にもぴったりですね。
しかしもともと日本では「松竹」だけで成り立っていたため、調和が取れないと言われることもあります。
梅を抜いてもおめでたい意味は変わりませんが、華やかさをプラスするためにも欠かせない存在です。
松竹梅以外の飾りは?
門松には松竹梅以外にも、縁起物の飾りが用いられます。
代表的な3つを、意味も合わせて以下でご紹介します。
【葉牡丹】
- 縁起の良い牡丹と姿形や旬の時期が似ているため
- 昔は牡丹だったが丈夫で安価な葉牡丹の人気が高まり普及した
- 花言葉が「祝福」や「利益」で縁起が良い
【南天】
- 赤い実が魔除けや厄除けとして用いられる
- 「南天のど飴」にも使われるように葉には抗菌作用があるため風邪予防になる
- 南天と難転をかけて「難を転じて福をなす」と言われる縁起が良い
【水引き】
- 中国からの贈答品に結ばれていたもので無事に海を渡れるようにと魔除けの意味
- 水引きは引けば引くほど強く結ばれることから縁結び
- 水が引けると清められることから邪気払い
葉牡丹や南天、水引などは門松だけでなくお正月飾りにはよく使われています。
彩もきれいになりますし、お祝い事には欠かせないものですね。
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門松の竹の切り方(寸胴、そぎ)の意味
門松に使われている竹に注目してみると、切り方が違うのがわかります。
節に合わせて真っ直ぐな寸胴と、斜めに切られているそぎの2つがあり、それぞれ意味が異なります。
なぜ切り方が違うのか、本来の形と変化していった過程を歴史と絡めて見ていきましょう。
寸胴
竹が節に合わせて真っ直ぐな切り方の、「寸胴(ずんどう)」という門松を見たことはありますか?
現在ではあまり見られませんが、飾り始めた室町時代から江戸時代まではこの形でした。
節がしっかり詰まっていることから「お金がたくさん詰まる」という意味が込められています。
銀行などの金融機関やデパートなどの商業施設では、現在でも寸胴の門松が飾られていることがあります。
また、繁華街では危険なことに使われないようにとの意味もあるそうです。
お正月の縁起物として飾られる門松が、犯罪に使われる可能性があるというのも残念な話ですね。
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そぎ
門松本来の形から現在では主流の「そぎ」に変わったのは、400年以上前の江戸時代のことです。
1572年12月22日、上洛する武田信玄に対して徳川家康が浜松城から討って出て戦った「三方ヶ原の戦い」がきっかけだと言われています。
遠江国敷知郡の三方ヶ原(現在の静岡県浜松市北区三方原町近辺)で起こった合戦です。
徳川家康が大敗するのですが、武田信玄は新年の挨拶として、追い打ちをかけるような意味のある歌を送ります。
「松枯れて 竹類なき あしたかな」
(まつかれて たけたぐひなき あしたかな)
松(松平)枯れて(滅びて)竹(武田)類なき(繁栄する)あしたかなという意味です。
要するに、徳川家康が負けて滅び、武田信玄が勝って勢力を広げるということですね。
これに対して徳川家康は歌を送り返します。
精神的に追い詰めるはずでしたが、反対に闘志を掻き立てることとなってしまいました。
「松枯れで 武田首なき あしたかな」
(まつかれで たけだくびなき あしたかな)
松(松平)枯れで(滅びずに)武田首なき(武田が滅びる)あしたかなという意味です。
こちらは徳川軍は滅びずに、次は武田信玄を滅ぼすという意気込みが込められています。
このとき徳川家康が、「武田信玄の首を斬り落とすぞ!」と思いながら門松の竹を斜めに斬り落としたそうです。
ここから現代まで続く「そぎ」の切り方が始まりました。
この後武田信玄は病に倒れて亡くなり、徳川家康が天下統一を果たしました。
首を斬り落とすことはありませんでしたが、門松の竹の切り方がそぎとなったのには歴史と深い関係があったんですね。
また他にも、
- 節の部分でそぐと切り口が笑った顔のように見える
- お客様が訪れるところでは中をよく見せる
といった意味もあります。
年神様を迎えるための目印や依り所という役割だけではなく、見た目でも縁起がよいということです。
「笑う門には福来る」といったことわざも、門松にはぴったりでお正月から家庭に笑顔が絶えなくなりそうですね。
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門松の竹の長さが七五三になっている意味
竹が3本の門松が主流ですが、その長さが七五三(7:5:3)の割合になっているのをご存知ですか?
実は裾に巻かれている荒縄も、同じく上から7回、5回、3回となっています。
1番長い竹と7回巻かれた荒縄が男、1番短い竹と3回巻かれた荒縄が女を表すようです。
さらに中間の長さの竹と5回巻かれた荒縄が中間的な立ち位置で、男女の仲を取り持つといった意味があります。
七五三にはこれだけでなく、2で割り切れないため縁起のよい比率とされています。
見た目にもバランスがよく、きれいに見えますね。
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まとめ
門松の意味や由来を詳しくご紹介してきました。
新しい年を迎えるためのものですので、ただ飾るだけではなくしっかりと理解しておきたいですね。
祝い事には欠かせない松竹梅が使われますが、それ以外にも縁起物が一緒に用いられます。
竹の切り方によっても意味が異なりますので、きっかけとなった「三方ヶ原の戦い」と合わせて覚えておきましょう。
長さは七五三の割合となっており、設置の仕方で祈願する内容も違います。
正しくご利益を得るためにも、ぜひ意味を覚えて、子供達にも伝えられるといいですね。
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