錦秋の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!
錦秋の候とは、手紙などに季節感を与えるために用いられる時候の挨拶の1つです。
秋を連想させる言葉ですが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう!
読み方や意味を理解しておくと、誤用して「常識のない人」と思われる心配も無用です。
錦秋の候の使い方として私的な季節の挨拶状やビジネスレターの例文もまとめています。
文書等で重視される「結びの挨拶」とセットで覚えておくと便利ですよ!
そこで今回は、錦秋の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!というテーマでご紹介します。
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錦秋の候を使う時期はいつ?
錦秋の候を使う時期は、例年10月8日頃~11月6日頃が目安です。
これは、1年を24等分の季節に分けた二十四節気の「寒露」~「霜降」の約30日間です。
以下に、旧暦の秋を中心とした二十四節気表をまとめていますので、確認してみましょう!
季節 | 二十四節気 | 旧暦月 | 新暦初日 | ||
---|---|---|---|---|---|
秋 | 初秋 | 13 | 立秋 | 7月節 | 8月7日頃 |
14 | 処暑 | 7月中 | 8月23日頃 | ||
仲秋 | 15 | 白露 | 8月節 | 9月8日頃 | |
16 | 秋分 | 8月中 | 9月23日頃 | ||
晩秋 | 17 | 寒露 | 9月節 | 10月8日頃 | |
18 | 霜降 | 9月中 | 10月23日頃 | ||
冬 | 初冬 | 19 | 立冬 | 10月節 | 11月7日頃 |
20 | 小雪 | 10月中 | 11月22日頃 |
※二十四節気の順番は立春(1番目)を基準としています。
二十四節気(旧暦)の秋は「初秋・仲秋・晩秋」の3つの季節(三秋)に分けられています。
その中で、錦秋の候を使える時期は晩秋全般(前半の節気と後半の中気)です。
使い始めは、立春から数えて17番目に巡ってくる節気「寒露」の初日にあたる10月8日頃。
使い終わりは、同じく18番目に巡ってくる中気「霜降」の最終日にあたる11月6日頃です。
11月7日頃の「立冬」を迎えると、季節は秋から冬(初冬)に移り変わります。
すると、錦秋の候を使う時期として相応しくないため、前日6日頃までの使用にとどめます。
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錦秋の候の読み方は?
錦秋の候の読み方は「きんしゅうのこう」です。
漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです(※一部例外もあります)
錦秋単体でも訓読みにすることはなく、「きんしゅう」として俳句の秋の季語になっています。
また、「候」は「そうろう」「さぶら(う)」「うかが(う)」「ま(つ)」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。
錦秋の候の意味は?
錦秋の候は「木々の紅葉が錦のように美しい季節になりましたが…」という意味です。
それだけ秋が深まり、美しく麗しい自然の姿が見られる頃の時候の挨拶となっています。
錦秋の「錦(きん・にしき)」とは、もともと様々な色糸で織り出した織物を表しています。
そこから派生して「美しいもの」「豪華絢爛な様子」「秋の紅葉」を例える言葉となっています。
紅葉といっても、イロハモミジのように赤に染まるものあれば、イチョウのように黄色に染まるもの、ブナやカシワのように褐色に染まるものもあります。
木々の葉が目にも眩しく、色とりどりに染まることから錦秋と呼ばれるようになったようです。
また、錦秋の候には「秋が最も深まり、冬の足音が聞こえてくる頃」といったニュアンスも含まれています。
時候の挨拶に使われる「候」は、暑さ寒さなどの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃を意味します。
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錦秋の候の使い方の例文と結び!
では、錦秋の候の使い方の例文をご紹介します。
私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶とともに参考にしてくださいね!
漢語調の時候の挨拶の前提として「錦秋の候」「錦秋の折(おり)」「錦秋の砌(みぎり)」のどれを使ってもOKです。
口語調(和文調)の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向もあります。
私的な季節の挨拶状の例文と結び
【書き出し】
- 拝啓 錦秋の候、○○様にはますますご健勝にてご活躍のことと存じます。
- 拝呈 錦秋の候、皆様いよいよご清祥のこととお喜び申し上げます。
- 啓上 錦秋の候、皆様にはますますご清栄のことと拝察し、お慶び申し上げます。
- 謹啓 錦秋の候、ご家様にはいよいよご清適の由大慶に存じます。
- 恭敬 錦秋の候、ご一同様にはおかれましては益々ご清福の段慶賀の至りに存じます。
錦秋の候だけで季節感は伝わりますので、続いて相手の健康を祝う言葉を入れおきます。
「お慶び」「お喜び」の代わりに、「大慶」「慶賀の至り」「慶祝の至り」も使えます。
【結び】
- 秋たけなわの季節です。皆様お健やかにお過ごしください。敬具
- 朝夕はめっきり肌寒くなりました。くれぐれも風邪などめされませんようご留意ください。敬具
- 柿の実が色づく時節、皆様おそろいで実りの秋を満喫なさってください。敬白
- 初霜の折、何卒お体大切にお過ごしくださいますようお願い申し上げます。かしこ
- 霜降のみぎり、皆様ますますのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。謹白
結びの挨拶には相手の健康を気遣う言葉を入れておくのがマナーです。
「お過ごしください」「お願い申し上げます」「お祈り申し上げます」は使用頻度も高くなります。
また、冒頭の頭語と最後を締めくくる結語の組み合わせは以下の通りです。
頭語 | 結語 | |
---|---|---|
一般的な例 | 拝啓・拝呈・啓上・啓白 | 敬具・拝具・敬白・かしこ(女性のみ) |
改まった例 | 謹啓・謹呈・恭敬・粛啓 | 謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ(女性のみ) |
(※同じ行であればどの組み合わせでもOKです)
最もポピュラーな頭語と結語の組み合わせは「拝啓」+「敬具」です。
相手によっては「謹啓」+「謹言」などにすると、より丁寧な印象になります。
ビジネスレターの例文と結び
【書き出し】
- 拝啓 錦秋の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
- 拝呈 錦秋の候、貴店いよいよご盛栄のことと拝察し、お慶び申し上げます。
- 謹啓 錦秋の候、貴社にはますますご隆昌の趣大慶に存じます。
- 謹呈 錦秋の候、貴店におかれましてはいよいよご盛業の御事慶祝の至りに存じます。
- 粛啓 錦秋の候、貴社におかれましては益々ご隆盛のことと拝察し、お慶び申し上げます。
ビジネスレターでは、相手の会社やお店の敬語「貴店・貴店」を使用します。(銀行なら貴行)
「より一層」という意味の「ますます」「いよいよ」はどちらでも問題ありません。
【結び】
- 引き続き末永くご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。取り急ぎ、ご報告まで。敬具
- 今後とも倍旧のお引き立てを賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。まずは、書中にてご挨拶申し上げます。敬白
- 今後とも格別のご支援を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。まずは、書中にてお礼かたがたご挨拶申し上げます。拝具
- 秋晴の折、皆様のご健勝とご活躍を社員一同衷心より祈念致します。略儀ながら、厚く御礼申し上げます。謹言
- 寒露のみぎり、貴社ますますのご隆盛を心からお祈り申し上げます。誠に略儀ではございますが、お礼とご挨拶を申し上げます。頓首
結びには「今後の支援」や「相手の会社の繁栄」を祈願する言葉を入れておきます。
「衷心より」=「心の底から」、「略儀」=「本来お伺いすべきところですが」という意味です。
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錦秋の候を使う時期はいつ?読み方や意味は?使い方の例文と結び!のまとめ
- 錦秋の候を使う時期は10月8日頃~11月6日頃が目安
- 二十四節気の「寒露」と「霜降」を合わせた約30日間
- 読み方は「きんしゅうのこう」
- 意味は「木々の紅葉が錦のように美しい季節になりましたが…」
- 「秋が最も深まり、冬の足音が聞こえてくる頃」というニュアンスも含む
- 漢語調の時候の挨拶は主に改まった相手に使用される
錦秋の候は、紅葉の見頃の時期に使用される時候の挨拶です。
知人・友人への手紙やビジネスレターにご活用くださいね!
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