不知火とデコポンの違い!収穫時期や旬はいつ?名前の由来や値段も!
冬から春にかけて市場に出回る柑橘類に「不知火(しらぬひ)」と「デコポン」がありますよね。
見た目も味もあまり変わらないように思えますが、両者にはどのような違いがあるのかご存じでしょうか?
デコポンの最大の特徴である果梗部(果実の柄の部分)に盛り上がった「凸(デコ)」が現れる様子も、不知火にも見られますので一見しただけでは区別しにくいです。
また、どちらも異なるいくつかの栽培法がありますが、収穫時期や旬はそれぞれいつなのかも気になりますよね。
その他、名前の由来や値段の違いなども比較すると新しい発見がありそうです。
そこで今回は、不知火とデコポンの違い!収穫時期や旬はいつ?名前の由来や値段も!というテーマで詳しくご紹介しますね!
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不知火とデコポンの違い!
不知火とデコポンは柑橘類の中でも全く同じ品種であり、味の濃さや皮の剥きやすさ、甘みの強さなどから人気も高まっていますね。
分類上、伊予柑、ポンカン、ネーブル、八朔、キンカン、清見オレンジなどと同じく「晩柑類」に属しますが、近年、その中でトップの生産量を誇っています。
ただし、名称(呼び名)が異なる以上、それなりの違いが存在します。
食べてみれば多少異なる点を見つけやすいですが、見た目だけで「不知火か?、デコポンか?」を判断するのは困難です。
では、両者の特徴を以下にまとめますので、どのような違いがあるのか確認してみてくださいね。
眺めているだけでも新しい発見があるかもしれませんよ!
不知火とは?
不知火とは、同じ晩柑類の「清見ダンゴール」と「中野3号(ポンカン)」の交配によって誕生した比較的新しい品種です。
植物学上「ミカン属ミカン類」に属する柑橘類になります。
ミカン属(柑橘属)の雑種の1つで、主にミカン類やオレンジ類の交雑種を意味する言葉です。
代表的なものに「清見」の他、「せとか」「タンカン」などがあり、当然交配によって誕生した不知火もダンゴールに属します。
ちなみにポンカンはミカン類に含まれますが、元々インド原産で交雑種ではありません。
不知火が誕生したのは1972年のことで、長崎県南島原市にある旧農林水産省果樹試験場で交配が行われました。
誕生当時は名称もなく、不揃いにデコが出現したり、成熟すると萎びて見えるなどの見た目の悪さを露呈し、結局品種登録に至ることはありませんでした。
しかし、1975年頃から甘夏に代わる柑橘類の生産を模索していた熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市)に苗木が渡ったことで、積極的に栽培が進められ、品質もどんどん向上していきました。
現在、不知火の人気が高まっている理由については、下記の特徴が挙げられます。
【不知火の特徴】
- 甘味が強く酸味が控えめ
- 水分量もちょうど良く食べやすい
- 皮が剥きやすい
- じょうのう(可食部を包む小袋)ごと食べられる
- 種がほとんど無い
- 日持ちする
- 凸(デコ)の大きさは味に影響しない
不知火はあくまで柑橘類の品種の1つということがわかりましたが、これだけではデコポンとの違いがわかりませんよね。
では、デコポンの詳細についても見て行きましょう!
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デコポンとは?
デコポンとは、熊本県果実農業協同組合連合会(熊本果実連)が保有する「不知火またはその変種」に関する登録商標を意味します。
現在は、熊本県果実連を含む日本園芸農業協同組合連合会(日園連)傘下の農業団体により、品質に関する厳しい基準が設けられており、それをクリアしたものだけをデコポンと呼びます。
つまり、不知火は「品種名」、デコポンは「登録商標」という違いがあります。
元々は不知火と全く同じ品種ですが、デコポンという名称で出荷するためには「糖度13度以上、酸度1度以下」をクリアする必要があるのです。
注目すべき点として「全国統一糖酸品質基準」を有する唯一の果物の登録商標であることが挙げられます。
したがって、各都道府県の柑橘類に関する農協組合連合会を通さないもの、または生産者が個人で販売しているものはデコポンという名称を使うことは許されていません。
熊本果実連が保有する登録商標ですが、他の都道府県でも基準を満たしていれば名称を使うことは可能です。
ちなみに「デコポン」「DEKOPON」の商標登録が認可されたのが1993年7月のことですので、まだ30年も経っていない計算になりますね。(※2020年12月現在)
不知火とデコポンの違いは把握できたかと思いますので、次は収穫時期や旬についてご紹介しますね。
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不知火とデコポンの収穫時期や旬はいつ?
不知火とデコポンは栽培方法が4つに分かれており、それぞれ収穫時期にも違いが出てきます。
また、収穫してすぐ食べると酸味が強いため、一定期間貯蔵して甘味を引き出し酸味を落とす追熟を行う場合もあります。
旬とされる時期は初冬~翌4月頃で、寒い季節にご家庭で食べられることが多いですね。
貯蔵庫などで追熟が行われるケースもあるため、不知火やデコポンは6月頃まで出荷されており、私たち消費者も購入可能となっています。
栽培方法と収穫時期に関する詳細については下記にご紹介しますね!
【不知火・デコポンの収穫時期】
- 加温ハウス栽培(11月下旬~12月上旬頃)
- 無加温ハウス栽培(12月~翌1月頃)
- 屋根掛け(雨除け)栽培(2月~3月頃)
- 露地栽培(3月中旬~4月頃)
※収穫時期は1月頃でも、貯蔵期間を経て4月~5月頃まで出荷されることもあります
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旬の時期が半年ほどある不知火やデコポンですが、出荷のピークは3月~4月になります。
熊本県産を中心に関東や関西、全国にも出回りますので、ぜひ美味しい春先にお召し上がりくださいね。
収穫後も日持ちする!
冬によく食べるミカンに比べ、不知火やデコポンは日持ちがよいのも特徴です。
ミカンの場合、1個が傷むと次々に腐敗が始まってカビが生えることも珍しくありませんよね。
しかし、不知火やデコポンは収穫後2~3か月貯蔵することもあるほど日持ちしますので、ご家庭で腐敗したものを見る機会も比較的少ないと思います。
個人的には皮が分厚くて固いものより、皮が薄くて「柔らかいけど大丈夫かな?」と思うくらいの方が、実際食べてみると美味しい気がします。
もちろん個体差はありますが、皮が固いものは中の実もパサパサになっていることが多いです。
デコポンの場合は厳しい基準により高品質が約束されたものですが、不知火の場合はなるべく皮が薄くて手に取った時に弾力(ハリ)があるものの方がオススメです。
多少柔らかいと感じても、甘味が強くて酸味が少ないと感じることもしばしばです。
元々日持ちには定評のある不知火やデコポンですが、購入時に触れられる場合は手で感触を確かめる方がオススメですよ!
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不知火とデコポンの名前の由来!
不知火とデコポンの名前の由来もご紹介しておきましょう!
まず不知火は、熊本県宇土郡不知火町(現・宇城市)で栽培が開始された際に地名を品種名にしたことに由来します。
1972年、長崎県南島原市にある旧農林水産省果樹試験場で交配が行われた際、量産に不向きとして商標登録に失敗しましたが、有明海を渡り不知火町で栽培が盛んに行われました。
その後も、不知火海(八代海)沿岸の宇戸・天草・葦北などの温暖な地域で育てられ、柑橘類の一種として全国に拡散されることになりました。
そもそも不知火とは、九州に伝わる妖怪の一種で「海に現れる怪火」として恐れられていました。
現在では、月の光の反射や屈折などが原因で起こる「大気光学現象」の1つであることが解明されています。
つまり、もともとは妖怪の一種が地名となり、さらに柑橘類の不知火の名前の由来となっています。
地名や果実のフリガナは「しらぬひ」とされることが多いですが、「しらぬい」が本来の読み方のようで、現在ではどちらを使っても大きな問題は無いようです。
デコポンという名前は、果梗部にある突起物のように盛り上がった「凸(デコ)」と、種子親となった「ポンカン」を組み合わせたことに由来します。
ポンカンの「ポン」は原産国であるインドの地名「プーナ(Poona)」に由来しており、デコポンという名称にも影響を与えたようです。
元々ポンカンは漢字で「椪柑、凸柑」と書きますが、果梗部に「凸(デコ)」が現れやすい特徴がありますので、清見と交配させたことでより特徴的な姿になったようですね!
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不知火とデコポンの主な産地は?
現在、不知火(近縁種を含む)やデコポンは全国でも栽培されるようになりました。
ただし、寒さに弱いという特徴があるため、以下の温暖な地域が主な産地となっています。
【主な不知火・デコポンの産地】
- 熊本県:宇城市(旧不知火町、旧三角町)、芦北町(旧田浦町)、天草市(旧五和町)
- 佐賀県:鹿島市、唐津市、太良町
- 大分県:津久見市、杵築市、佐伯市
- 宮崎県:宮崎市、日南市
- 鹿児島県:出水市、阿久根市、長島町
- 愛媛県:松山市、八幡浜市(旧保内町、旧八幡浜市)、伊方町(旧三崎町)
- 徳島県:阿波市(旧市場町)
- 広島県:呉市(旧豊町、旧蒲刈町)、尾道市(旧瀬戸田町)、大崎上島町
- 和歌山県:紀の川市(旧那賀町)、有田市、有田川町(旧吉備町)
- 三重県:御浜町
- 静岡県:静岡市、伊東市
- 米国:カリフォルニア州「品種名:Sumo Mandarin(スモウマンダリン)」
- 韓国:済州島「品種名:漢拏峰(ハルラボン)」
熊本県に次いで、ミカン処で知られる愛媛県、和歌山県の生産量が多くなっています。
海外に目を向けると、お隣・韓国の済州島は温暖な気候で栽培条件も適しているため、「漢拏峰(ハルラボン)」という名で栽培され、特産品となっています。
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デコポンの名称を使える品種は?
不知火は近縁種を含め品種名ということもあり、出荷・販売するのに厳しい基準はありません。
ただし、デコポンの名称を使えるものは全国で統一された基準をクリアする必要があるため、わずか数種類に限られています。
詳細については下記の通りです。
【デコポンの名称を使える品種と主な産地】
- 不知火(しらぬひ):熊本県
- 肥の豊(ひのゆたか):熊本県
- 安芸の輝き(あきのかがやき):広島県
- 佐賀果試34号(さがかし34ごう):佐賀県
- 大将季(だいまさき):鹿児島県
熊本県の不知火以外は、交配による品種改良などの努力の末に完成したものです。
気候によっても栽培条件が異なりますし、品質を落としやすいため、不知火を種子親にして他の柑橘類との交配が進められたようです。
ダンゴールは甘くて食べやすい新品種が誕生しやすいため、今後はデコポンを上回るような美味しい柑橘類も開発されそうですね。
不知火とデコポンの値段の違い!
美味しい不知火はたくさんありますが、厳しい基準をクリアしているデコポンとの値段の違いも気になりますよね。
そこで、ネット通販サイトで販売されている商品をチェックして、どれくらい差があるのか調べてみました。
下記の値段は、熊本県の不知火町産の商品(5kg当たり)の相場をまとめたものです。
【不知火とデコポンの値段】※5kg
- 不知火:4000円~5000円
- 不知火(訳あり品):2000~2500円
- デコポン:8000円~12000円
- デコポン(訳あり品):4000~6000円
※税抜き、送料抜きの場合です
不知火に対して、デコポンは2倍近くの値段で販売されているようです。
大玉で糖度が高い高級品になると、もっと高くなることもわかりました。
一方、どちらも「訳あり品」が販売されていますので、贈答用でなければ十分美味しくいただけると思います。
半額以下になることもありますので、ご家庭用に購入を検討されているのであれば狙い目かもしれませんね。
あくまで不知火とデコポンの値段の違いを相場としてまとめていますので、もっと安く買える場合もあります。
また、近所のスーパーなどで購入すると、特に不知火は比較的お求めやすい金額になっていることもありますよ!
5㎏程度なら1000円以下で購入できることも珍しくありません。
失敗の無いよう、手に取って皮が薄くて弾力のあるものを選びたいですね!
特にネット通販の場合、不知火なのに「デコポンと同じ品種」と書かれてあることが多いです。
文字に惑わされて購入しないように確認することが大切です。
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不知火とデコポンの違い!収穫時期や旬はいつ?名前の由来や値段も!のまとめ
不知火は品種名で、デコポンはその中でも厳しい基準をクリアした高級品という違いがありましたね。
購入する際はどちらなのかを確認することが大切です。
収穫時期については、11月下旬~4月頃まで行われており、貯蔵して甘味を引き出すため6月頃まで市場に出回っています。
旬は初冬~翌春までとされていますが、出荷のピークとなる3月~4月頃は最も美味しいかもしれません。
値段についてはデコポンの方が不知火の2倍ほどしますが、そもそも不知火でも十分美味しく食べられます。
贈答用でなければ、不知火を購入する方がオススメですよ!
また、訳あり品といっても形が歪だったりする程度ですので、味に違いは無いと思われます。
現在ではかなりの人気を誇る柑橘類ですので、冬の寒い時期に美味しく召し上がってくださいね。
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