向春の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！

2022年6月29日2022年6月30日はがき・手紙のマナー

手紙などに季節感を与えるため用いられる時候の挨拶の1つに「向春の候」があります。

「春」という文字が含まれていますが、使う時期はいつ頃なのか確認しておきましょう！

 

読み方や意味を理解しておくと、「常識のない人」と思われる心配も無用です。

向春の候の使い方として私的な季節の挨拶状やビジネスレターの例文もまとめています。

 

文書等で重視される「結びの挨拶」とセットで覚えておくと便利ですよ！

そこで今回は、向春の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！というテーマでご紹介します。

 

向春の候を使う時期はいつ？

向春の候を使う時期は、例年2月4日頃～2月末日が目安です。

冬に使われる時候の挨拶ですが、旧暦と新暦が混ざるような特殊な使われ方をしています。

 

以下に、旧暦の春を中心とした二十四節気表をまとめていますので、確認してみましょう！

季節		二十四節気		旧暦月	新暦初日
冬	晩冬	23	小寒	12月節	1月5日頃
		24	大寒	12月中	1月20日頃
春	初春	1	立春	1月節	2月4日頃
		2	雨水	1月中	2月18日頃
	仲春	3	啓蟄	2月節	3月6日頃
		4	春分	2月中	3月21日頃
	晩春	5	清明	3月節	4月5日頃
		6	穀雨	3月中	4月22日頃

※二十四節気の順番は立春（1番目）を基準としています。

二十四節気（旧暦）の春は「初春・仲春・晩春」の3つの季節（三春）に分けられています。

その中で、向春の候を使う時期は初春全般が目安となっています。

 

使い始めは、二十四節気における1番目の節気「立春」の初日にあたる2月4日頃。

使い終わりは、同じく2番目の中気「雨水」の中頃にあたる2月28日（閏年=29日）です。

 

特に使い終わりを2月末日としているのは・・・

向春の候を使う時期が、新暦の春（3月～5月）に入る前の冬の終わり（2月）を指すからです。

 

春に向かう冬の時候の挨拶なのに旧暦の初春全般を目安に使われており、少し紛らわしくなっています。

難しく感じる人は立春を意識せず、新暦の冬（12月～2月）の最後にあたる2月全般を目安に使っても問題ありません。

向春の候の読み方は？

向春の候の読み方は「こうしゅんのこう」です。

漢語調の時候の挨拶は漢字の部分を音読みにすることが多いです。（※一部例外もあります)

 

向春単体でも訓読みにすることはなく、季節が移り変わる様子を表す言葉となっています。

また、「候」は「そうろう」「さぶら（う）」「うかが（う）」「ま（つ）」といった訓読みもありますが、時候の挨拶では音読みで「こう」とします。

向春の候の意味は？

向春の候は「春に向かう季節に入りましたが…」という意味です。

そもそも向春とは、「冬の終わり頃を迎え、暖かい春が訪れようとしていること」を表す言葉です。

 

現在の2月というと、立春（寒の明け）を迎えたからといって急に暖かくなるわけでもありません。

梅や蝋梅、水仙の開花やフキノトウの旬を迎えますが、わずかに春の気配を感じる程度です。

 

下旬になるとやや暖かくなりますが、一時的に真冬のような寒さがぶり返す「余寒」「春寒」もあります。

3月に入ると次第に春めいてきますので、暖かい地域では使われなくなる時候の挨拶です。

 

向春の候には「三寒四温を繰り返し、春らしい季節に向かう頃」といったニュアンスが含まれています。

また、「候」は、暑さ寒さなどの気候や天候、季節特有の自然現象が見られる頃（時季）を意味します。

向春の候の使い方の例文と結び！

では、向春の候の使い方の例文をご紹介します。

私的な季節の挨拶状とビジネスレターに分けてまとめていますので、結びの挨拶とともに参考にしてくださいね！

 

漢語調の時候の挨拶の前提として「向春の候」「向春の折（おり）」「向春の砌（みぎり）」のどれを使ってもOKです。

口語調（和文調）の挨拶よりフォーマルな印象で、主に改まった相手に使用される傾向もあります。

私的な季節の挨拶状の例文と結び

【書き出し】

• 拝啓　向春の候、〇〇様にはお健やかにご活躍のことと存じます。
• 拝呈　向春の候、皆様いよいよご健勝のこととお慶び申し上げます。
• 啓上　向春の候、皆様にはますますご清祥のことと拝察し、お慶び申し上げます
• 謹啓　向春の候、皆々様にはいよいよご清栄の段大慶の至りに存じます。
• 恭敬　向春の候、ご家族様におかれましては益々ご清適の由慶祝の至りに存じます。

 

向春の候だけで季節感は伝わりますので、続いて相手の健康を祝う言葉を入れておきましょう。

「～のことと」の代わりとして「～の段」「～の由」「～の趣」「～の御事」なども便利です。

【結び】

• 底冷えのする日が続いております。風邪などめされませんようご留意ください。敬具
• まだまだ残寒の日々ですが、何卒お体ご自愛くださいませ。敬具
• 寒気もようやく緩みつつありますが、ご油断なくお健やかにお過ごしください。敬白
• 三寒四温の時節柄、皆様くれぐれも無理なさらず、お体をおいといくださいませ。拝具
• 余寒のみぎり、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。かしこ

 

結びの挨拶は、相手の健康や活躍、幸せを祈願するような文章が一般的です。

受験シーズンでもありますので、合格を祈るような内容もオススメですよ！

 

また、冒頭の頭語と最後の締めとなる結語の組み合わせは以下の通りです。

	頭語	結語
一般的な例	拝啓・拝呈・啓上・啓白	敬具・拝具・敬白・かしこ（女性のみ）
改まった例	謹啓・謹呈・恭敬・粛啓	謹言・謹白・敬具・敬白・頓首・かしこ（女性のみ）

（※同じ行であればどの組み合わせでもOKです）

最もポピュラーな頭語は「拝啓」、対応する結語は「敬具」です。

より丁寧な印象にしたい時は「謹啓+「敬白」などの組み合わせを選びましょう。

ビジネスレターの例文と結び

【書き出し】

• 拝啓　向秋の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
• 拝呈　向秋の候、貴店いよいよご隆盛ことと拝察し、お慶び申し上げます。
• 謹啓　向秋の候、貴社にはますますご清栄の趣承り、大慶に存じます。
• 恭敬　向秋の候、貴店におかれましてはいよいよご盛業の御事大慶に存じます。
• 粛啓　向秋の候、貴社におかれましては益々ご隆昌のことと拝察し、お慶び申し上げます。

 

ビジネスレターでは取引先の会社の敬語「貴社」を使用します。（お店は貴店、銀行は貴行）

「お慶び」「お喜び」の代わりとして「大慶」「慶賀の至り」「慶祝の至り」なども使えます。

 

【結び】

• 浅春の折、貴社ますますのご盛栄を社員一同衷心より祈念致します。取り急ぎ、ご挨拶まで。敬具
• 早春の候、皆様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。取り急ぎ、ご報告とお礼まで。敬具
• 引き続き、変わらぬご愛顧を賜りますよう、どうぞよろしくお願いします。まずは、お知らせのみにて失礼いたします。敬白
• 今後とも倍旧のお引き立てを賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。まずは、書中にてご報告申し上げます。敬白
• 今後とも格別のご助力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。略儀ながら、書中にてご挨拶申し上げます。謹白

 

結びには「相手の会社のさらなる発展」や「今後の支援」を祈願する言葉を入れます。

協力を願う際は、「倍旧の」「格別の」「より一層の」「尚一層の」などで強調しておきたいですね。

向春の候を使う時期はいつ？読み方や意味は？使い方の例文と結び！のまとめ